槍ヶ岳A

2010727日〜730

Report by 吉松

 

7月28日(水)

今日は、堀さん、青木さんにとっては数回目の、吉松にとっては初めての槍ヶ岳(3180m)に挑戦の日だ。

昨日は8時ころには床について、ゆったりとしたスペースの寝床で睡眠も十分とれた。気は晴れ、完璧な登山日の始まりだ。

4時過ぎに起床。周りはすでにほんのりと明る

くなってきた。朝日が昇ると、真っ赤に染まる

明神岳(2931m)が浮かび上がり、山の肩には

将に沈まんとする十六夜の月が見える。

横尾山荘では朝食は取らず、5時に横尾を出発。

横尾山荘自慢の朝食セットを槍沢ロッジで食べる

予定である。

ほとんど登りのない沢沿いの道を50分ほど歩い

て、最初の休憩地「一の俣」に到着。雪解け水の

冷たい清流が音を立てて流れ下っている。

サンカヨウの実

一の俣から40分で槍沢ロッヂに到着(6:40)。

ここでゆっくり朝食を取った。

横尾山荘自慢の朝食は、クロワッサン3ヶに、

ツナ、ジャム、野菜ジュースなどが添えられた

もので、おしゃれでとても山小屋の食事とは思

えない代物。爽やかな山の空気を胸いっぱい吸

い込みながら、おいしく頂戴した。

槍沢ロッジからは、木々の間越しに我々が向かう

槍の穂先が見えていた。

ミヤマカラマツの花

槍沢ロッジからはゆるい登りに入り、途中で

森林限界を超えて高木は姿を消して、あちこちに

高山植物も目につきだした。

太陽光が頭上に直接当りだすが、気温も湿度も下

がっているので爽やかだ。

槍沢大曲(乗越沢)で小休止(8:108:20

ここで見つけたクルマユリ。

今回は、クルマユリはこれしか見つからなかった。

ヨツバシオガマ

ハクサンフウロ

槍沢大曲を過ぎると勾配が急となり、歩く皆の息

も弾みだす。今年は寒さが続いたせいで、見上げ

ると槍沢上部には残雪が多い。

ミヤマダイコンソウ

あせらず、ゆっくりゆっくり登っていく。

シナノキンバイ

水補給タイムや小休止をいれて、息を整えながら

頂上を目指す。歩く先には大きな雪渓が見えてき

た。

大曲から1時間ほどで、天狗原への分岐を通過

9:30)。

天狗原分岐からは、更に登りがきつくなる。

ベテランの青木さんが少し遅れだした。

両足の付け根あたりが痛むので、自分のペースで

歩くとのこと。

しかし、お花畑が目を楽しませてくれる。

コバイケイソウ

ハクサンイチゲとシナノキンバイ

コイワカガミ

キバナシャクナゲ

残雪が多く、五つの雪渓を渡るはめになった。

足跡がはっきりしていて登りは比較的安全だが、

滑落すればかなり下まで落ちていく。

用心だけは怠らずに丁寧に歩いた。

先頭を歩く堀さんに、足元のしっかりしたところ

で振り向いてもらって撮影。

雪渓を渡る吉松。

槍ヶ岳を開山した播隆上人(1786年―1840年)

が五十余日篭って、念仏を唱えたという播隆窟に

到着(10:40)。人一人であれば余裕がある広さの

洞(ほら)である。

文献によれば播隆上人は、1826(文政9年)に槍

の肩付近まで登り、1828年(文政11年)に槍ヶ

岳の初登頂を果たして開山したとのことである。

播隆窟を過ぎて、再び雪渓を渡る。

青木さんは大分遅れてしまったが、自分のペース

で登ってくるのが眼下に見えたので、堀さん、

吉松の二人は先に出発した。

吉松も安全に気を配りながら雪渓を渡っていく。

殺生ヒュッテまで来れば、槍ヶ岳山荘(肩の小屋)

は目と鼻の先だが、ジグザグの登りはかなりきつ

そうだ。

あとひと踏ん張りしなければならない。

足場の悪い道をのぼりつめて、やっと槍ヶ岳山荘

に到着(12:15)。

山荘から、槍ヶ岳山頂を仰ぐ。

ゆっくり登ってきた青木さんは、ハクサンイチゲ

に隠れていた雷鳥に出くわしたそうだ。

子連れだったとのこと。

山荘で宿泊手続きを終えて軽く昼食を取り、

リュックを置いて身体ひとつで山頂を目指す。

足の調子が今一つの青木さんは、無理せず、

堀さん、吉松の登頂を山荘で見守っていてくれた。

岩に張り付いて一歩一歩登っていく。

下を見ると足がすくむので、ひたすら槍の頂だけ

を目指して登る。

梯子も一段一段慎重に。

最後の梯子を登るとそこは山頂。

山頂(3180m)に立つ堀さんと吉松。

1350分登頂

初めて槍ヶ岳に登って満足げな吉松。

雲はあるが360°の見晴らしは素晴らしく、

しばし山頂で達成感と登頂の喜びを味わった。

双六岳・三俣蓮華方面 (裏銀座)

眼下には、今夜泊まる槍ヶ岳山荘が小さく見える。

明日、縦走する予定の北穂方面は雲の中だ。

常念岳()から蝶ヶ岳

山頂でのパノラマを堪能して、槍の岩壁を下った。

登りよりも下りの方が危険度が高い。

慎重の上にも慎重に下った。

岩に張り付きながら降りてくる堀さん、吉松を

青木さんが撮影してくれた。

(写真中央付近を下っている2人)

槍ヶ岳の花々

イワツメクサ

イワギキョウ

ミヤマオダマキ

イワベンケイ

 

槍では、北岳のような大きなお花畑は見られない

が、ひとつひとつの株が大きくしっかりしていて

見応えがある。

かくして28日は念願の槍ヶ岳を制覇した。平日であるため山荘は思ったより混雑はしておらず、ゆったりとした寝床スペー

スが確保できた。

 

気がかりは明日以降の天気。どうやら崩れるようだ。堀さん、青木さんは、楽しみにしていた縦走ができるかどうか随分心配

顔だ。

吉松は槍ヶ岳登頂で一先ず満足。明日、雨が降ろうが槍が降ろうが、兎に角体力温存とばかり早めの就寝とあいなりました。

翌29日へ

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