26日(日)
4時過ぎに起床。一応、雨は上がっている。
朝食の弁当を食べ、5時10分椹島ロッヂを出発。
今日の行程は標高1120mのロッヂから3120mの赤石岳避難小屋までの予定。
登山路はいきなり梯子上りから始まる。
道はすぐに千枚岳と赤石岳方面に分かれる。左の赤石岳方向に進み、樹林の中を黙々と歩く。
雨続きのため、ともかく湿っぽい。樹林の中は薄暗く、花をつけるような草は無い。
巨大なキノコを見つけた。タバコと比べてください。笠の直径20cm位はありそう。
ギンリョウソウも時々顔を出す。
ともかくジメジメ好きな植物ばかりだ。
高度が上がるにつれて、樹林は広葉樹混じりからシラビソの林に変わってくる。ダケカンバが混じる。
もう3時間半も林の中を歩いている。ようやく時折り木漏れ日が差す。ゴゼンタチバナが顔を見せる。
今日初めての花だ。
既に標高2000mはとっくに超えているのに樹林帯が続く。足元の石が赤い。山名の由来、赤石(ラジオラリア)
のようだ。沢筋には多いらしいが、この東尾根(大倉尾根)ルートではここにしか見なかった。
10:30赤石小屋に到着。椹島を出てから5時間20分。ようやく林の中から日の当たるところへ出られた。
雲が晴れて、山頂は隠れているものの、聖岳
赤石岳が見える。
少し早いがここで昼食とし、中華丼を注文。胡椒を掛けると、これがなかなか美味しい。
大抵はこの赤石小屋に泊っていくのだが、我々にはまだ先がある。
ここは標高2500m、まだあと600m残っている。休憩後、11:30出発。
赤石小屋からは10m登っては5m下るというような道が続く。
岩を乗り越え、木の根を跨ぎ、結構歩きにくいが高度は稼げない。
それでもそろそろ森林限界に近いようで、ナナカマドやハイマツなど木々の背丈も低くなってくる。
50分の歩行で富士見平という広場に着く。
富士山は生憎見えないが、当初予定した悪沢岳、千枚岳が見える。
赤石岳は、まだかなり先だ。頂上近くに小規模だがカール(圏谷)が見える。
森林限界を超え、ようやく高山らしい植物が現れる。
ハクサンシャクナゲが薄ピンクの花を付けている。
最近は数が減っているのか、目にすることの少なくなったクロユリも、ここでは幾つか見ることが出来た。
テガタチドリ
ハクサンチドリ
13:50 砲台と名付けられたテラスに到着。ここで一服。
振り返れば、谷筋に雪渓が見える。
ここからの急斜面にはお花畑が広がっている。
コイワカガミ
キバナシャクナゲ
アオノツガザクラ
チングルマ
ぱらぱらと雨が降ったかと思うとすぐに日が差す。
虹が出た。左に赤石小屋が見えている。小屋を出て3時間余り経過しているのに、それほど高度が稼げていない
ように感じられる。
しかし、赤石岳山頂はもう少しだ。小屋から見えたカールが間近に見える。
急な登りを詰めると赤石岳と小赤石岳の間の鞍部に出る。
また雨が降り出したが、「すぐに上がるだろう」と先を急ぐが、降りが激しくなってきて頂上手前で傘を取り出す。
風も強くなってきた。
雨と風の中、15:30ようやく赤石岳の山頂を踏む。
頂上直下にある赤石岳避難小屋に到着。鞍部からわずか20分程度だが、衣服は勿論、靴下まで全身ずぶ濡れで、
さっそく着替える。急に震えるほど寒さを感じる。こんな状態が数時間続くと、トムラウシの遭難になりかねないところだ。
この小屋は、避難小屋といっても夏季は管理人が常駐しており、普通の山小屋と大差は無い。
食事も簡単なものだが、頼めば用意してくれる。
我々は、まずその前に熱燗で中から暖め、親子丼を注文。
管理人が、何故か着替えが済んだ我々をデジカメで撮影していたが、こんな証明書を作成してくれた。
(堀はまだ髪が濡れている)
椹島と赤石岳は標高差がちょうど2000mでこれを1日で登ったという「体力証明書?」
小屋の管理人(東海フォレストという東海パルプの関連会社社員)の話では、南アルプスの間ノ岳から南は大半が
東海パルプの所有地だそうだ。椹島ロッヂほかの山小屋も東海フォレストの経営になっている。
小屋の“営業会議”とか無いのかな。(無いらしい)
明日は聖岳へ尾根を縦走する予定だが、果たしてお天気はどうなるのか。
全ては明朝判断することに。
pm8:00消灯。時々、風雨の音が聞こえる。