09.07.11/12 北八ヶ岳 天狗岳
7月11日(土)黒百合ヒュッテ


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八ヶ岳は八つ峰があって名付けられたわけではない、多くの峰々が集まった出来た連峰の意である。
夏沢峠を境にして赤岳を主峰として、横岳、阿弥陀岳等2800m〜2900m級の荒々しい男性的な南八ヶ岳と
天狗岳、根石岳、縞枯山、北横岳等の2400m〜2600m級の女性的な優しい北八ヶ岳と称している。
今回は北八ヶ岳の主峰天狗岳への一泊二日の企画である。
10年ぶりの北八ヶ岳 天狗岳(2646m)の挑戦となる。今回は黒百合ヒュッテで7月11日(土)に
「アンデス高原ケーナの夕べ」のイベントコンサートが開催されるのに合わせ、7月11日(土)、
12日(日)の企画となった。
梅雨明け前で2,3日前までは11・12日両日とも低気圧に押され傘、傘のマークであり天候は
危ぶまれたが、既に小雨決行の案内で、今回の参加者は紅一点の川島さんと、能勢さん、吉松さん、
高橋文さん、高橋雄さんと熊本の6名となった。
朝7:00新宿発のスーパーあずさ1号は登山客で超満員となり出発し、茅野駅に9:08に全員集合した。
麦草峠までのバスは夏季のみで、それも来週7月18日から運行となっており、我々は6名のため、
ジャンボタクシーを依頼し、麦草峠に向かった(9:30)。(茅野―渋の湯間は通年運行)
茅野駅からメルヘン街道に入ると空は幸いなことに青空が広がっているが赤岳、横岳等の南八が岳や
北横岳や蓼科山の山頂あたりは雲が掛かっている。

蓼科高原から高度をグングン上げて、
約45分で標高1217mの麦草峠に到着した
(\14,790)。
Tシャツ一枚では寒いくらいに涼しい。
流石に約2000mの高原の風はヒンヤリして
おり都会の熱風とは一味も二味も違う。
登山準備を行い麦草峠の標識の前で
恒例の出発前の集合写真を撮り、いよいよ
歩行開始となる(10:30)。
緩やかな勾配一面クマザサの中に所々
オレンジ色のレンゲツツジが彩りを添えて
咲く草原を10分程歩くと、コメツガから
オオシラビソ等のマツ科の木や、ダケカンバ、
トウヒ等の密集した背の高い樹林帯に入る。
全く陽が射さないため薄暗く鬱蒼として、
登山道や木の根っ子は苔蒸して緑色に
なっている。
20分ほど樹林帯を歩くと明るく開けた
庭園風の場所にでると、そこは「白駒の奥庭」
と名付けられた溶岩石と密集した石楠花の木で
自然に創作された庭園となっており、庭内は
木道で導かれ静かな散策で気分も和らげられた。
所々名残か白いハクサンシャクナゲが
咲いていた。
再び樹林帯に入り10分程で前方下に
白駒池が現れた。
白駒池に沿って右に巻くように数分いくと
茶店があり、
そこを越えると、高見石への登山口があり
再び樹林帯へと入る。
イキナリ、木の階段が続く直登となり一変に
汗が噴出す。
登山道は昨日降った雨か、元々湿地帯
なのか湿っており特に木道や木の根っ子は
ツルツルして滑りやすい。
木道が終わると、こんどは石が苔を被って
おりこれも滑りやすく、歩くのに神経を使う。

ここでパン!となにかが破裂する音がした。
ハンターの鉄砲?

その後しんがりを歩く雄さんは、ギョウザを
焼くようなニオイがして、白駒池の茶店から
漂ってきたのかと思ったそうだ。
これが何の音か、あとでわかることになる・・・
登山道の路端には白いゴザンタチバナの
花が多数咲いており、これから高山植物の
季節到来を感じさせる。
更に高度を上げると、マツ科の木(コメツガ?)
に赤い花が咲いているのを発見した。
大汗をかき、スリップに冷や汗を交えながら、
30分に5分の休憩ペースで約60分かかり
高見石小屋に到着した(11::50 2260m)。
小屋の裏に大きな岩の堆積したピークが
あり、高見石の由来であろう。早速その
ピークに登る。
ピークの頂きから眼下には白駒池全体が
俯瞰できる。

更にすぐ隣に縞枯山、北横岳、蓼科山が
見えての届く範囲の様に近い。
風が強く寒い。気温は相当に低そうである。

何枚か写真に収め小屋まで下りて、
風除けを探し昼食にする。
川島さんが悲鳴をあげた。ザックに入れて
きたキムチのパックの蓋が気圧が下がり
パンパンに膨らんで破裂開封してしまい、
ザックの中がキムチの匂いで充満していた
そうだ。

これがさっきのパン!という音の正体。
道理でギョウザらしい匂いがしたわけだ。

標高は2,250mの高山。気圧が低く、ただでさえ
お菓子やパンの袋は風船よろしくパンパンに
膨れ上がっている。
ましてや発酵食品の袋は発生したガスで
よけいに膨れるので要注意。
しかし匂いだけで済んで幸いでした。
12:35昼食を終え高見石を後にし、次の中山
展望台まで80分の急登が始まる。
相変わらずダケカンバやシラビソの樹林帯の
中で、展望はなく、黙々と湿った登山道を
ただヒタスラ歩く。
登山道は鉄分が多いのか、石から土から
赤茶けた色がより一層濃くなってきた。
湿地帯にはコバケイソウや
更に高度を上げ、湿樹林の中も
歯を喰いしばって登っていくと、
下でも見かけたゴゼンタチバナに加え、
←オサバグサや
石の上の小さなカタツムリ 
 ヘビイチゴ
コイワカガミ、ミツバオウレン、その他
数多くの高山植物が次から次へと現れ
目を楽しませてくれる。 
歩幅の狭い川島さんは少々遅れ気味に
なるが、元気について来ており問題はない。
20分ごとに3分休憩を入れて 
80分ほど急登を続けると急に開けた展望の
良い広い広場に出た。
ここが中山の展望台(2496m)である。
此処まで登ってやっと、天狗岳の山頂が
姿を現した。
反対側には北八ヶ岳の峰々や蓼科山、
霧が峰等、眼下には茅野市街地の展望が
広がっている。
相変わらず風は強く、動かず景色に見とれて
いると寒くなる。 
シラビソのツボミ?
などを見ながら樹林帯をちょっと登ると
中山山頂の標識があった。

ここからは大きな石が積み重なった
急な下りとなる。
一気に標高差100m近く下りそうだ。  
樹林帯の間から、正面に瓦礫の崩れた
絶壁の赤茶けた山肌を見せる硫黄岳
(南八が岳の最北峰)が姿を現す。
その前に東天狗、西天狗が立ちはだかる。
 コケモモ?
大きな石の重なりは段差があり、慎重に
バランスを取って下りないと危険だ。
川島さんは歩幅が短いので、厳しい。
雄さんがサポートし慎重に下る。
緊張の連続で下りでも全身に汗が滲み、
何とか全員無事おりた。
尾根道となり展望が開ける。
左に片側が崩壊している東天狗、右に
真丸な西天狗の双子峰である。
明日両峰にチャレンジするためシッカリ
目に焼け付けた。 
ここからは樹林帯の平坦な登山道となり
一安心。
この付近も高山植物が満載で楽しい。
 ←マイズルソウ

数分歩くと中山峠に着く(2410m)。
中山峠は4方向への分岐となっている。
我々は勿論、黒百合平へのルートを取る。
 登山道は木道となり10分程歩くと、
 目指すく黒百合ヒュッテ>が見えてき、
14:50に到着した。
早速チェックイン。本日の一番乗りのようだ。
6人部屋の個室があるとのことで、
一人プラス¥1,000-で個室を確保。
(一泊2食¥7,500-とあわせて\8,500)
 夕食は17:30からとのことで、3時間弱あり、
外のベンチで、急登での大汗と急下りの
冷や汗で喉がカラカラになり、生ビール
(¥700−)で先ずは喉を湿らす。
綺麗な空気と緑の木々に囲まれた中で
夕日を浴びながら飲む生ビールは格別に
旨い。喉が鳴る。
黒百合の花を山小屋の人の案内で探したが、
今年は例年より早く咲いたため残念ながら、
もう既に終っていて見ることが出来なかった。

黒百合の咲いたあと

ベンチに戻り、今度は持ち込んだツマミで、
ウイスキーへと変わり、天候にも恵まれた
こともあり、話は弾む。
唐沢鉱泉から親子連れが登ってきた。
子供は3歳でストックを手にしながら元気
である。
名前はショウちゃん(ショウタロウ)、
後で分かったが父親が本日のケーナ
演奏者であった。 
 17:30夕食開始。本日の献立はハンバーグ、
野菜の煮物、野菜さらだ、花豆煮、漬物に
味噌汁でマーマーである。
贅沢にも日本酒「八海山」(4合)を飲みながら
完食する。
 19時からイヨイヨ本日のイベント
「アンデス高原ケーナの夕べ」の始まりである。
ケーナ・ボーカルは長岡隆介氏、チャランゴ、
ギターの弦楽器は寺沢むつみ氏、
そしてショウチャンの母親(長岡夫人)が
ピアノ演奏と皆さん民族衣装で現れ、
2400mの高地山小屋で演奏が聴けるとは
夢のようである。
ケーナ演奏のさわり1
(音入り、QuickTimeで聞くことができます。
QuickTimeがPCに入っていない場合、以下から
ダウンロードしてインストールしてください。無料版で十分です。)

http://www.apple.com/jp/quicktime/download/
黒百合ヒュッテでの演奏は
27年間続いているそうだ。
コンドルは飛んで行く、メレンゲのメドレー
等民族音楽や日本の昴
ケーナ演奏のさわり2
コーヒールンバ等よく知られた曲もサービス
に入れ、 
チャランゴ演奏のさわり1
チャランゴ演奏のさわり2
10数曲の締めはやはり花祭り、
ケーナ演奏のさわり3
アンコールはラ・バンバと十分にアンデス
のケーナ、チャランゴの演奏を90分堪能し
20:30にお開きとなりました。 

個室の宿泊者は贅沢にも羽毛布団と一般の大部屋(30人位の大部屋)とは差別してありプラス\1000-も
決して高くない。
アンデスのケーナ演奏の余韻を残しながら明日の東天狗、西天狗への挑戦に早々と就寝しました。

翌12日へ

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