09.07.11〜12 北八ヶ岳-2
7月12日(日)天狗岳

個室で毛布にフカフカの羽毛布団での寝心地は良かった。
しかし、山小屋泊が初体験の川島さんは寝付かれなかったようだ。
3時にトイレに起き、外に出てみた。上空は薄い雲が掛かっているが月の明かりはあり、
星も僅かではあるが薄雲を通して確認することが出来、昨夜の天気予報では午後から
崩れるとのことだが、本日午前中の天気はマズマズであろうと一安心。
4時起床。我々は早出のため、昨夜弁当に変更しておいた朝食を食べて出発準備に入る。

4:50既に外は明るくヘッドランプは不要。
東天狗岳への登山口は中山峠まで戻り、
直登コースの方が、短時間で山頂に着けるが、
我々は、黒百合ヒュッテの前にも登山口があり、
このコースをとることにした。
登山口前で本日のスタート写真を撮り、
かなり冷え込んでいる中、登り開始する。
ここからは天狗の山頂は見えなく、
標高差30mほどの高さに奇妙な岩が今にも
落ちて来そうな不安定な格好で鎮座している。
いきなりの急登で、まだはっきりと目覚めて
いない体には堪える。
10分弱で奇妙な岩があるピークに出た。
ここで黒百合ヒュッテを俯瞰しながら一息いれる。
やっと東天狗山頂が目の前に見えてきた。
東天狗の手前には擂鉢池があり、右から池の
周囲を半周し東天狗の麓まで行く。
麓までは平坦ではあるが、大きな石がゴロゴロ
しており、男性は石のトップをヒョイヒョイと飛んで
行けるが、川島さんは石から石への歩幅が合わず、
登って降りての繰り返しで歩数も倍近くかかり
足・膝への負担も多く厳しい。

池を半周している間に東方上空、雲が赤くなり
始めてきたが、まだ日差しはなく、風もあり、
この日の出前がもっとも気温が低く寒い。

南南西から北北西にかけて、中央アルプス、御嶽山、乗鞍岳、北アルプスの山々がうっすらとではあるが遠望できた。

東天狗の麓にやっと辿りつくと、今度は、
登山道が直径1mほどの大きな石が重なり
あった標高差200mほどの直登となり、
石に白く塗られた丸い目印(◎)を頼りに登る。
ゼイゼイと喘ぎながら、歯を食いしばり
10分登っては2分息継ぎの繰り返しが続く。
展望の良い鞍部に出ると、北から東南
方向の視界が開けた。
北東に噴煙を上げている浅間山が見え、
さらに右方向には山頂が平らな
荒船山、その後ろに妙義山、
更に右方向に目を転じると秩父の山並み
が連なり、瑞垣山、五畳岩がハッキリ見える
金峰山が見える。
景色を見ながら一息入れ写真を撮る。
この登りが1時間ほど続きやっと最後の鎖場を
過ぎ大きな岩を越えるとガレ場の尾根道にでた。
昨日と同様にコイワカガミや黄色い
←ミヤマダイコウンソウ
←ツガザクラ等の高山植物も多く
咲いている。
尾根道からは約10分、登り開始から
丁度2時間係り6:50に2646mの
東天狗山頂(2646m)に到着した。

風が冷たく強い。記念写真を撮るが
顔が強張る。
360度の展望で南正面には南八ヶ岳の
主峰赤岳、右に阿弥陀岳、左に山頂が
岩のゴツゴツした横岳、その手前に赤茶
けた硫黄岳が現れた。
富士山は赤岳の後ろ陰で見えないが、
南アルプスの山々がよくわかる。
この時期には珍しく遠くの山並みもクリア
に見え山座同定が出来た。 

西から木曽駒ケ岳、空木岳などの中央アルプス、一際大きな御嶽山、まだ残雪が多い乗鞍岳、穂高連峰、尖った槍ヶ岳、常念、
大天井、そして5月に登った燕岳、立山、双子峰の鹿島槍ヶ岳、五竜岳、唐松岳、白馬岳等の北アルプス、蓼科山、北の滋賀方面の
四阿山、草津白根山、浅間山、東の上州の山、秩父山塊、南の南八ヶ岳、南アルプスが確認できた。
この夏の時期は遠望が利かないのだが、今日のこの360度の展望が見られ一同感激しながら山頂からの景観を堪能した。

←超望遠の一例、北アルプス

当初の予定では、これから一旦、根石岳への途中にコマクサの群生地があり、それを観賞してから再び東天狗山頂に
戻る計画であったが、昨夜、黒百合ヒュッテに同宿した大阪からツアーの登山客から「唐沢鉱泉からのルートが登りでも
滑って下りでは難儀すると」の話を聞き、コマクサは諦め、早めに下り始め、時間を掛けて、余裕を持って安全を確保
しながら下ることに急遽変更の案を出し、全員の意見が一致した。
そうこう相談をしていると中山峠からの登山ルートで例の大阪からのツアー登山27名が一列になって登り始めていた。
彼らが来る前に、西天狗岳に先を急ぐことにした。
一旦下り西天狗岳山頂まではガレ場の
尾根歩きで15分の近さである(7:20)。
途中、イワヒバリが岩の突端で気持ち
良さそうにさえずっていた。
ツガザクラの群生
あれほど東天狗の山頂の強風は西天狗山頂
では嘘のように全くの無風状態であり、
ここで、朝食の弁当の残りを食べることにした。
山頂にはシャクナゲの木が多く、
白いハクサンシャクナゲの花が疎らで
あるが咲いている。
ナナカマド
ハクサンボウフウも咲いていた。
食事が終わったころ27名のツアー登山者が
東天狗に山頂に到着したところだった。
彼らの渦に巻き込まれないように西尾根の
唐沢鉱泉への下りに入った(7:50)。

この標高100mの下りが大変だった。
大きな石の堆積した垂直に近い急勾配の
下りでバランス崩せば滑落に繋がり兼ねなく
慎重に、慎重に足場を選び、両手で石に噛り
付きユックリと下りる。
何とか石山を無事下りきり、開けた
第二展望台に出た(8:30)。
ここで一息入れて更に先に進む。
振り返ると西天狗の下りの難儀した
岩場が見える。
  ここからは比較的歩きやすい尾根道で
あるが、両側が切り立っており、注意は
必要で安心する間がない。

道端にはミヤマシャジン 、タカネスミレ、 
ツマトリソウが咲いていた。 
ゆっくり歩き40分で第一展望台に着く(9:10)。
ここから最終地「渋の湯」までは後標準時間で
2時間は掛かり、時間的な余裕はあるため
小休止とした。
第一展望台を後にダケカンバの樹林帯に
入ると、再び日差しが遮られ、登山道は
湿っており全体が緑一色に苔生している。
特に木の根や石はりやすく土の足場を
求めながら慎重に下る。
頻繁に小休止を入れながら安全歩行に徹し
11:00に唐沢鉱泉に着いた。
川島さんは相当に疲労が溜まっているのが
顔に出ている。
これから目指す最終地「渋温泉 御殿湯」
までは、山越えで後1時間弱は要するが、
川島さんは頑張って目的地まで行こうと言う。
そこで持参したパンを食べ疲労回復を願い
大休止をとることにした。

天気予報通り午後に向けて雲が上空一面を覆いだした。暫くするとポツリ一滴、また一滴と雨粒が落ち始めてきた。
山の上はガスがかかり見通しは良くない。雨の中、山越えの1時間は厳しく、「渋の湯」を断念は全員意見が一致し、
唐沢鉱泉で入浴休憩することにした。もしかすると、全員が雨を待っていたのかもしれない。
唐沢鉱泉は「日本秘湯を守る会」に入っており八ヶ岳の秘湯である(\700-)。
http://www.karasawakousen.com/
美人女将に確認すると15:00に茅野駅までに送迎バスを出すという(\1000/人)。
バスの出発まで3時間半もあり、タップリ入浴休憩が出来る。
早速二日間でかいた大汗と冷や汗を洗い
流し、暖かい温泉に浸かり英気を養い気分
もサッパリし生き返った。
川島さんも見違える様に、顔に精気が戻り
元気回復した。
食堂に場所を移し、先ずは、生ビールで
天狗岳登頂、無事下山を祝し乾杯。
食堂のメニューは少なく、酒のつまみは
漬物盛合せのみで後は、そば、カレー、
猪鍋である。それでも酒は進み、地酒(岡谷)
の神渡を空け、更ににごり酒と進みシタタカ
飲んだ。
09年度後半の登山計画の話を話題にしたが、
余り良い案も出ず、飲む方に神経が行って
しまい結局、何も纏らなかった。
昼食の腹ごしらえに、期待もせず、山菜そば
を頼んだところ、これは具沢山の大当たりで
旨かった。
 外は雨も止み青空が広がり、陽が射して
きたところに、昨夜の人気者
「3歳のショウチャン」がケーナ演奏家の
両親と山を下りて着たところだった。
「ショウチャーン」と声を掛けると、
元気におどけて見せて可愛いかった。
また何時の日か合いましょう。
3時間強、ノンビリ入浴休憩と、
飲んで食べて飲んで十分満喫しました。 

15:00初の送迎バスで送られ(一人\1,000)、15時40分に茅野駅に着き、16:20分のあずさ26号に乗る予定で
自由席車両のホームに並んだ。
ところが先着のあずさ24号が17:50に到着した。3号車自由車両はガラガラで飛び乗った。6人が纏って席を確保し、
もう電車では飲むまいと皆思っていたが、結局は持っているウイスキーや焼酎を供出し、再び車内宴会が始まった。
当社予定より30分早く明るい内に全員自宅に帰ることが可能で大成功であった。

今回の北八ヶ岳 天狗岳は梅雨明け前の天候リスクがあり直前の予報でも雨、雨であったが、二日間、青空の中での
登山となり、また二日間変化に富んだ登山コース、高山植物、そして「アンデスのケーナ演奏」と素晴らしい恵みを受け
最高の登山となりました。

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