09.05.02燕岳二日目
燕岳 登り

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(今回は同一ルートの往復)

5時起床し露天の朝風呂へ直行。今日も快晴が期待できそうな夜明けである。
着替えや不要な荷物を有明荘に預けるため、ザックとの荷分けを行い6時半には
準備万端整ってしまったが、朝食は7時からであり、大分待たされてしまった。
20分でタップリ朝食を取り、スパッツを付けて全員集合を待つ。

女性陣が集まるまで能勢さんは
準備体操に余念がない。
入口では燕山荘オーナーの赤沼氏が
本日の登山教室の準備で忙しそうだ。
7:45全員集合し、有明荘入口で
集合写真を撮り、残雪の燕岳アタック
に向けてスタートを切った。
有明荘から燕岳登山口である中房
温泉までは、中房川に沿った舗装
された林道を約20分歩く。
上空は雲ひとつない青空で覆われ
快調な出だしである。
中房温泉入口からは一般車両禁止
となり、途中にある駐車場には車が
多数停めてある。燕岳の入山者が
多い証拠であろう。登山口横には
登山者向けの日帰入浴温泉施設が
あり、06年に来た時はまだ造り始め
であったが営業を開始していた。
登山口(1463m)で再度、集合写真を
撮って、これからの急登に備え気持ち
を引き締め、ヤッケ等の防寒具を脱ぎ、
雄さんはもうTシャツ一枚になって
いよいよ北アルプス三大急登の
合戦尾根に取り掛かる(8:10)。
ちなみに北アルプス三大急登とは、
<1>、燕岳への合戦尾根(中房温泉・燕山荘間標高差1260b)・・今回
<2>、裏銀座コース起点のブナ立尾根(高瀬ダム・烏帽子小屋同1250b)
<3>、鹿島槍の赤岩尾根(西俣出合・冷池山荘同1120b)
といわれている。
先頭は熊本がペースメーカとなり、
シンガリは雄さんが守る。登り始めは
ブナやダケカンバ等の樹林帯に入るが、
横からの陽射しがマトモに当たり、
暑くなり直ぐに汗が出始める。
常に有明山(2268m)を対面に見
ながらジグザグの折り返しで高度を
稼いでいくが、思った程の急登では
なく、35分で第一ベンチ(1600m)に
着いた(8:45)。
此処までは積雪は殆どなかった。
しかし、昨日下山して同宿した人が、
「第一ベンチ以上は残雪が始まり、
固く凍って滑りやすく、第一ベンチ
でアイゼンを着けた方が安全である」
と言っていた。
我々も経験者のアドバイスを受け、
第一ベンチで全員アイゼンを装着する
ことにした。
田形さんは登山靴、アイゼンも新品の
初下ろしである。
しかもアイゼンは10本爪の本格的な
やつだ。
全員アイゼンの装着を終え、Tシャツ
一枚となって第二ベンチに向かう
(9:00)。
第一ベンチから第二ベンチとの間は、
まだ雪のない登山道が多く、木の根や
小石でアイゼンが水平に接地せず
極めて歩きにくいが、日陰では残雪が
凍っており、アイゼンの歯が凍結を突き
破って安心して歩け心地良い。
斜度もだんだんときつくなり、有明山頂
の高さが近づいてグングン高度を上げて
いるのが実感できる。
合戦小屋への荷揚げ(スイカ?)の
リフトと交差し暫く登ると第二ベンチ
(1800m)に着いた。

10分程休憩し更に第三ベンチに向かう。
ブナ等の広葉樹から針葉樹に変わり
遠望が利かない樹林帯で大汗をかき
ながら歯を食いしばってユックリでは
あるが、一歩一歩高度を上げていく。
第三ベンチ

で一呼吸を入れ更に富士見
ベンチへと向かう。
一段と傾斜がきつくなり、積雪も
1m近くなって来ている。
小野寺さんが、頭が痛いとの報告
があった。既に標高2000mを越えて
おり、軽い高山病の症状が現れたと
思われ、水と、特効薬の「救心」を
二粒飲んでもらい、少し休息を入れ
たところ、効果が現れ、短時間で
頭の痛みが取れて良かった。
斜度が更に上がるに従い、ペース
を落とし11:15に富士見ベンチに
到着した(2200m)。

視界が開け、富士山が霞んではいる
が何とか存在は確認できる。しかし、
写真にはとても写らない。
 有明山頂が殆ど目の高さと同じ
になり、更に燕岳から大天井、
常念に繋がる尾根の稜線
(表銀座縦走コース)が近づき、
雪庇がハッキリと確認できるよう
になってきた。
富士見ベンチから上は、開けた急登
の尾根歩きとダケカンバ等の樹林帯
の中の登山道とを交互に繰り返し、
更に高度を上げていく。 
益々、表銀座の稜線が近づき、
蛙岩がハッキリと見える。 
  樹林帯に入り暫く登ると花崗岩の
大きな岩に出会い、岩の前で記念
写真を撮る。 
急登に歯を食いしばり、ストックに
力を入れ登り続け、右側にトラバース
すると合戦小屋が目の前に見えてきた。
2375mの合戦小屋へ12:10に着いた。
 
登り始めから約標高差1000mを
4時間強で登ってきた。

此処で軽食の大休止を取る(昼食は
燕山荘で取る計画であった)。
有明山の山頂はもはや目の高さの
下になった。合戦小屋は雪に埋もれ
ているが、外で飲み物の販売はして
いる。ベンチは除雪されていて、
登山客には大助かりである。
燦燦と注ぐ太陽の恵みを浴びてパン
等の軽食で一時凌ぎとする。
ここから本格的な合戦尾根の急登
となるため十分に休息をとる。
快晴の直射日光で雪の照り返しが
強烈。日焼け止めクリームを塗り
重ねる。田形さん、文さん、小野寺さん
はさらに、どハデなマスクで顔を
保護。怪しい3人組が誕生。
合戦小屋からの最初の関門は、
合戦沢の頭までの標高差110mの
直登である。
疎らな針葉樹があるだけで、視界は
開け表銀座尾根が一望に見渡せ、
7,8分登ると尾根の上に槍穂と
小槍の頭が出始める。
感激の一瞬である。
 直登を何とか凌ぎ詰めて合戦沢
の頭に立つ(2489m、13:20)。
既に森林限界を超え、
潅木は雪の下に埋まり、雪原が広がり
景観が一新する。
正面遠く尾根上に燕山荘の小屋が見え、
その右手には燕岳山頂、更に右手に
針の木岳(山姿から剣岳と間違えた)、
餓鬼岳が見え、左手方向には槍ヶ岳が
全貌を現している。
 ここで、針の木岳、燕山荘、槍ヶ岳の
三方向をバックに記念の写真を撮る。
 
 
合戦沢の頭から燕岳山頂までは何の
障害物もなく、目と鼻の先の近さに見える
が、距離で2.3Km、標高差でまだ200mを
越えなければ成らず、ここから燕山荘まで
の登りは結構シンドイ。
大雪原の急登尾根で雪庇を注意しながら
目印の赤い旗を目安に直登に向かって行く。
高度が上がるに連れ、右手方向は
鹿島槍ケ岳、白馬岳がハッキリと見え、
左手を仰げば、
槍ヶ岳、から中岳、南岳が、東鎌尾根が
大きくなり、更に北穂高、奥穂高、が見え
始めると、全員カメラを向けシャッターを切る。
一歩一歩高度が上がるに連れて
北アルプス連峰の山が次々と現れて、写真
を撮るのに忙しく、更に疲れと合間って先に
進むのが遅くなる。
燕山荘は表銀座の尾根にあり、この尾根に
到達すると、また景色が一変した。
目の前に花崗岩が風化した奇岩、怪岩が
随所に見られる燕岳山頂までの威容な景観
に目を見張る。
更に槍ヶ岳から三俣蓮華、野口五郎岳、
烏帽子岳、針の木岳に繋がる裏銀座縦走の
尾根、更にその奥の水晶岳、雪深い立山が
見える。

残念ながら剣岳は燕山頂の陰で見えないが、
更に右方向に目を転じると鹿島槍,五竜、
白馬岳が見渡せる。北アルプスの名だたる
山が一望できるのだ。
この景観に感激しながら、燕山荘には
計画より1時間遅れ14:30に到着し、
チェックインした。 
山小屋の入口前の雪原には赤、黄色の
テントが20張近く既に出来ており、テント村
となっている。
燕山荘は泊まって良かった山小屋No.1、
泊まりたい山小屋No.2の人気の山小屋で
ある。600人収容のところ、本日は250名の
予定だそうだ。我々の部屋は一番奥の新館
行き止まりの5畳二つに4名と、6名となった。
通常は5畳に8名が定員であり、多少は余裕
があった。 
ここで昼食を取る予定にしていたが、
到着が遅くなったため、荷物を置き、先に
燕岳山頂に行くことにした。
熊本は過去に2度登っており、疲れも感じて
いるため、今回はパスし周辺の山の写真
撮りに専念し、他の9名が山頂に向かった
(15:10)。
奇岩・ハイマツの間の尾根道を頂上に
向って進む。ところどころに残雪があるが、
アイゼンは燕山荘で外してきているので、
滑らないよう、慎重に歩く。
頂上直下の最後の急登。
燕山荘で昼食をとらずにきたため、
エネルギー不足でシャリバテ気味。
疲れと、雪で滑らないようゆっくり来た
ため、燕山荘から標準で30分のコース
のところ、50分かかってしまった。

が、ついに頂上を極めた。
16:00

山頂は狭く、皆で寄り添って証拠
写真を撮る。
 

そこでは北アルプスの荘大なパノラマが待っていた。

景色をもっと堪能していたかったが、
風も出てきて、夕暮れも迫ってきて
いるので燕山荘へ引き返す。
16:05
16:30
燕岳山頂を制覇し全員が戻った。
小野寺さんは合戦小屋で少しのパンを
食べただけの昼食のため、疲れが出た
らしい。
遠くに雲が出てきたため、今日は夕焼け
に輝く北アルプスの写真は諦め、夕食まで
約1時間、部屋で生ビールとウイスキーで
食前酒と称し宴会となる。
17:50夕食。

メニューは山小屋にしては豪華で、豚角煮、
スパゲッティー、サトイモ煮、それと、レンコン、
竹の子、人参等の煮物、若布、玉葱のお浸し、
柏餅、味噌汁、デザートに杏仁豆腐である。
まともな昼食を食べていないだけに、タップリ
補給した。
食事が終わる頃、オーナーの赤沼氏が
現れ、春山山行の注意点や燕岳登山の
特徴など、貴重なアドバイスを話してくれた。
最後に名物のアルペンホルンの演奏の
サワリを聞かせてくれてお開き。

小野寺さんは食欲がなく、全く箸が
進まないし寒いとのこと。
疲れが溜まったのだろう。
体を温めて寝るに限る。
19時に寝袋の布団に潜り込み、明日の
天候を期待しながら30分後には就寝。
しかし、田形さんは星の観察に出た。
観察グッズは完璧。

月のクレーターはよく見えたが、月明かり
で肝心の☆はいまひとつ。
翌早朝、日の出前に再チャレンジして
みることにした。
ちょっと寝そびれてしまった雄さんは
松本盆地の夜景を撮影。

翌三日目 燕岳下山へ

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