08.08.15 月山
レポートby熊本

今日は月山登山である。
俳聖 松尾芭蕉が奥の細道行脚の途次の陽暦7月28日に月山を登拝し、「雲の峰 幾つ崩れて月の山」
と詠んだ。日本百名山の深田久弥氏によれば「月山の名の起こりは、半輪の月の形からではなく、
その山を仰ぐ平野の人々が彼らの最も崇拝している農業の神、月読尊を祀ってあるからである。
しかし、その心の底にはやはり、月のように優しい山という感じがあったに違いない。
既に、864年 月山神の叙位されたことが国史に現れ、由緒の古いことでは、わが国、有数の山である。」
と記されている。

5時起床、朝風呂に浸かる。昨夜からの雨が降り続いており、時たま雷鳴が轟く。
昨日の鳥海山と同様に今日も登山断念かと不安が過ぎったが、朝6時の出発を7時に延ばしたが、
まだ雨が降り続き7:30の朝食バイキングを採ることにした。

  8時には一旦雨も止み、8:30龍の湯ホテルの
前で写真を撮り、月山に向かって出発した。

鶴岡から山形道の高速に入り、湯殿山から
月山花笠ラインの有料道路を快調に走る。
雨は間歇的に降り、湯殿山、月山は濃いガスに
覆われている。 
  約1時間半で姥沢小屋登山口の駐車場に着く
(10:00)。
登山の準備を始め雨具の完全装備をしたところ、
昨日の鳥海と同様にかなり強く降り出してきた。
一時車で待機。5分程で雨は上がり兎に角リフトの
上まで行って様子を見ようと出発する。 
   10分の緩やかな舗装道路を登るとリフト下駅
に着く。
   ペアーリフトに一人ずつ乗り20分弱で
標高400m弱を稼ぎ標高1500mまで上がる。
  途中、ガスで視界は利かないが、リフト下
には空色のガクアジサイや 
  エゾオヤマリンドウが咲き、目を楽しませて
くれる。 
  リフトを下るとさすがに1500mの標高は涼しい。
しかしガスが濃く遠望は全く利かない。
いつ、豪雨に見舞われるかもわからないため、
取り敢えず、近くの姥が岳(1670m)に登ること
にする。 


←一見、山頂写真のように見えるが、実は登山口。
   木道で整備された登山道を登り始めると直ぐに、
ニッコウキスゲの群生が現れ、花の盛りは過ぎて
いるが、まだ夏を惜しむように名残が山肌を黄色に
染めている。
  紫色のウゴアザミ(チョウカイアザミ)や 
  ピンク色のヨツバシオガマ、 
  白い花のチングルマの隣には花が散った
チングルマの髭状の実、 
  黄色いエゾシオガマ、白いハクサンボウフウ、 
  チングルマとハクサンボウフウの群生 
  ハクサンボウフウ 
  黄色いイワオトギリ
、 
  アキノキリンソウ、 
  キンコウカ 
  赤くなったシロバナトウウチソウ等の
高山植物が図鑑を捲るように次々に現れ、
遠望が利かない分を補ってくれている。
森林限界を超えているため、腰より高い樹木はなく、
緩やかな草原状の山で晴れていれば山一面に咲く
ニッコウキスゲを見ることが出来たであろう。
   
   40分ほどで姥が岳(1670m)の山頂に着く。
今回の東北登山ツアーで初めて山頂に立つこと
になり、記念の集合写真を撮る。
時たま霧雨状の雨はあるが殆んど降られず、
次は月山山頂に向かって8合目(?)の牛首まで
登ることにする。
  ウメバチソウ 
  ネバリノギランの一種? 
   紫のエゾリンドウ
  ヨツバヒヨドリ 
  赤くなったシロバナトウウチソウ? 
  白く捩れたトモエシオガマ、 
  ハクサンイチゲ 
  一旦木道を下り鞍部にで、湯殿山と月山山頂の
分岐 金姥にでた。
登山道は石畳上のしっかりした歩きやすい傾斜
の緩やかな登山道となる。 
  登山道の両側には、緑色をした細長い
タカネアオヤギソウ、 
  ミヤマコウゾリナ 
  ヤマハハコ 
   ピンク色のハクサンフウロ
  牛首は大雪渓の上にあり、8月の中旬でも雪渓の
厚さは2m程もあり冬季に10mを超える積雪の
名残で根雪になるのだろう。
残念ながら雪渓の下の方はガスで霞んで見えないが
かなり大きな雪渓である。 
   ?
   ウサギギク
   ハクサンシジャン、 
  ノウゴイチゴなどの高山植物が彩り、
花の百名山に選抜されただけに花の宝庫で
全山がお花畑になっている。
   約30分で牛首に着く。
牛首から山頂まで登ると1時間半掛かるとのことで、
天候も危ぶまれ今回は山頂登頂を残念ながら断念し
リフトに戻ることにした。
   ?
  大雪渓に沿った登山道(石畳)を下る。
10分ほどで大雪渓の下まで来ると、
雪解けの水がゴーゴーと音をたてて流れ落ちている。
雪渓の下から登山道は石畳から再び木道に変わる。
   
   チングルマの実
  ガスが時々とれ、明るく視界が開けると
遠く東側の尾根の沢に雪渓が大雪城等の
雪原が二つ並んで現れた。
   
   リフト上駅に近づくとニッコウキスゲの群生が
再び現れだした。
   リフト上駅近くの無料休憩所には月山悠拝所があり
安全祈願をして、
  駐車場までリフトで下る。
登りではガスで見えなかったが標高1500mの
リフト付近でも小さな雪渓が2,3あった。
駐車場に降り、雨具を脱いでいると急に雨が
降り出し、車の中で昼食を取る(14:50)。
もし、山頂まで行っていたらこの雨に合い、
散々な目に合い、下山の判断は正解であった。
   予定より早めに下山することが出来たため、
山寺(立石寺)に寄ることにした。
月山花笠ラインから山形道に入り、寒河江を
過ぎ約1時間で山寺に着く。
山寺(宝珠山立石寺)は、貞観二年(860年)
清和天皇の勅使により天台宗の僧、慈覚大師
円仁によって開基された霊場である。
奥の院まで千十五段の石段が続き、境内には
幽玄とも言われる情景が広がる。
   駐車場に車を止め、先ず立石寺の本堂に
あたる根本中堂(国の重要文化財、東北唯一
の宗門修行道場で、ブナ材建築として最古)
で参拝する。 
 
日枝神社の前には、芭蕉の像と句碑があり、
「閑かさや 巌にしみ入 蝉の声」
と刻まれており、周囲は高く鬱蒼とした樹林に
囲まれ薄暗いなき蝉が鳴き、句碑の情感を
感じさせる。
  大仏様を拝んで 
   山門を過ぎるとイヨイヨ階段が始まり、
 
御休石の中には、本物の殿様ガエルが
今にも飛び出しそうな格好で身構えている。

更に石段を登るとせみ塚があり、芭蕉が
山寺で読んだ句をしたためた短冊がこの地に
埋められている。
更に上ると左右に仁王像が安置されたケヤキ
造りの仁王門に出る。
  仁王門を潜ると、境内の景色は一変する。
山の両側は垂直に切り立った凝灰石の
百丈岩等の奇岩が聳えている。
幾つかの寺院を巡り、最奥が奥の院、
大仏殿である。
ここでも参拝し、岩で出来た三重小塔を見て、
五大堂に行く。 
  宝珠山を守る五大明王が安置され、
天下泰平を祈る道場である。堂
の舞台からの景色の眺めは素晴らしく、
山寺随一の展望台となっている。
ここから山寺全体を俯瞰する眺め、市内が
一望出来、此処まで長い階段を汗かき
上がってきた後のひと時の憩いの場である。 
  暫く休み、岩壁に立つ寺院を背景に写真を撮り
下山。

今夜の宿 蔵王プラザホテルへと向かう(16:40)。
田形さんの胃袋を満たすために途中コンビニにより、
蔵王ラインの有料道路に入る。 
   約1時間強で標高900mまで上がり蔵王温泉郷に
入ると硫黄の臭いが鼻を突く。
ホテル到着は18時を少し回っていた。
食事は19:00とのことで、早速、温泉に浸かりに
先ずは4Fの展望大浴場で月山及び山寺で
タップリかいた汗を拭い落とし、急いで1Fの
露天風呂に移る。
泉質は源泉49度 乳白色の硫黄泉で勿論、
掛け流しで、ツルツルな滑らかな肌に優しい
温泉である。
多少熱めの湯にユックリ浸かり、月山・山寺階段
の疲れを取る。
汗が引かない内に食事時間が来た。
食堂は満席で、我々7名のみ別室の広間に用意
されており、静かで、気兼ねなく食べることが出来た。
   食事は山の中だけに、山形牛のシャブシャブ、
ステーキ、肉じゃがと肉三昧で満腹となった。
部屋に戻り、TVでオリンピックを見ながら、
山頂は極めなかったもの、高山植物の月山
散策は大満足し、いつの間にか深い眠りに
入ってしまった。


16日 蔵王へ


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