5月24日(土) 屋久島 縄文杉

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レポートby能勢


昨日の大雨の宮之浦岳登山で全員疲労困憊だが、今日は縄文杉までのトレッキング。
一番行きたがっていた吉松さんは風呂場でぎっくり腰で、紅一点の小野寺さんは疲れで
縄文杉を断念。高橋文さん、高橋雄さん、能勢の3人となった。
今日も3時起き、ホテルを4:05に出発、さすがに外はまだ暗い。昨日、露天風呂で夕焼け
を見て晴れを期待したが、車の屋根を打つ雨音に不安は尽きない。
途中、頼んでおいた弁当を、昨日と同じ「あさひ弁当」で受取り、荒川登山口に到着。

車の中で朝食を済ませ、レインウエアを着て
身支度を整え、軽く準備体操をして5:50に出発。

荒川登山口から大株歩道入口まで延々と
トロッコ軌道を8キロ歩くことになる。
ほとんど平坦で歩行時間が長い割には楽だが、
単調でうんざりする。
現在でも森林管理の為にトロッコが走っており、
運が良ければその光景を見られるそうだ。

安房川を何度か渡るが両側に手摺りがない橋も
あり怖い。

途中、トロッコ軌道脇に白い花が咲いている。
「コガクウツギ」というらしい。
白い綺麗な花弁が4枚、葉っぱがアジサイとは
違うが良く似ている。
昨日、白谷雲水峡の「もののけ姫の森」を
見てきたが、トロッコ軌道の脇には、似た様な
一面に苔が広がる深閑とした森がいくつも見られ、
時間がなければ縄文杉トレッキングだけでも
十分楽しめる。
途中、ヤク鹿とヤク猿の朝のお出迎えもあった。
トロッコ道を歩き始めて40分、小杉谷橋を
渡ると林業関係者が暮らしていた小杉谷集落跡
の小・中学校跡地に到着。
学校の門柱と狭い校庭だけが残っている。
「屋久島の山守千年の仕事」の著者・高田久夫さん
が17歳で山に入った場所だ。
ここから屋久杉を伐採して運んでいたようだが
昭和45年に閉鎖、その面影が偲ばれる。
千年後の山の姿を思い描いて植え続けている
稚樹がすくすくと育っていた。
トロッコ軌道脇に最初に出会ったのがこの三大杉。
一代目の倒木の上に二代目が育ち、二代目の
切株の上に三代目が育っているのだそうだ。
案内板によれば一代目が樹齢1200年、二代目が
1000年、三代目が350年とある。
根元には大きな空洞がある。
三大杉を過ぎてトロッコ軌道左に仁王杉に出会う。
仁王杉を後にして大株歩道入口に8:05到着。
長かったトロッコ軌道も終わり、ここから登山道
になる。
縄文杉まで2.5キロ、往復4時間程度だろう。
橋を渡った所に綺麗な水洗トイレがあり、トイレは
ここが最後、小休止。
安房川沿いにななかまどの薄いピンクの花が
咲いていた。
紅葉の時期に真っ赤な実をつけたななかまどは
良く見るが花を見る機会は少なく珍しい。
今まで平坦な道だったが、大株歩道に入ると
急な登山道となり、深山幽谷の雰囲気がひしひしと
伝わってくる。
最初に出会った屋久杉が翁杉、樹高23.7m、
幹回り12.6m、推定樹齢2000年
無数の着生植物をまとった堂々とした姿は
翁の風格を漂わせている。
9:00ウイルソン株に到着。
切株の中はグループツアー客が多く一杯。
帰りに見ることにして先を急ぐ。
すぐに長く急な階段が現れるが、ここは狭くて
交互通行。
ツアーガイドさんが交通整理をしていたが、
山登りなどしたことが無さそうな女性がガイド
さんに手を引かれて登っていたり、
登山客も多く相当時間をロスした。
9:50大王杉到着、縄文杉が発見されるまで
最大とされていたようだ。
樹高24.7m、幹回り11.1m、推定樹齢3000年の
堂々とした巨樹である。
大王杉から20分、10:15夫婦杉に出会う。
3mほど離れた2本の巨木の枝が、10m程の
高さの所で繋がっている。
杉は癒合しやすいため根元から合体している例
は見られるが、これほど高い位置でつながって
いるのは珍しいそうだ。
まるで2本の杉が仲良く手をつないでいるようで
微笑ましい。
夫婦杉を過ぎると登山道に名もない大きな
黒光りしている屋久杉に出会う。
上部の穴は斧で切ろうとして諦めた跡らしい。
最後に手に触ることができる屋久杉であり、
長寿の精気を貰おうと皆が触るので幹の瘤は
ツルツル黒光している。
10:30縄文杉に到着、急な木製の階段を登り、
縄文杉を守るためにできた高い展望デッキに
上がると、目の前に日本で最大の縄文杉が
姿を現した。

根元保護のため、すぐそばまでは行けず、
残念ながら展望デッキから見るしかなく触る
ことはできない。

どっしりと大地に根を下ろし、ゴツゴツした幹を
天空に向けて、そびえ立つ姿は威厳と迫力に
満ちている。
樹高25.3m、幹回り16.4m、樹齢7200年とあるが、
最近、樹齢3000年との説もある。
まさに屋久島の主にふさわしい巨木だ。

ここで珍しく文さんが展望デッキの手摺りに
寄りかかってふらふらしている。
雄さん曰く「途中無理して階段の2段登りなど
していたので、ガソリン切れで血糖値が下がった
のだろう」、黒飴を口にすると直に回復した。
10:40縄文杉の先に東屋風の休憩舎があり、
運良く3人が座れる場所が確保できた。
ここでも雄さんが湯を沸かしてくれたので、
縄文杉との感動の出会いを祝いお茶で乾杯、
早めの昼食を取った。
帰り際にもう一度、縄文杉を拝み早々に
記念写真を撮り、11:15縄文杉出発、急な
木製の階段を下りる。
縄文杉を下りた所に水飲み場があり実に
冷たくて美味しい。
縄文杉のエキスが含まれているに違いない。
ここでも雄さんはしっかりボトルに水を汲み
今夜の水割りの水を確保した。
途中、大きなヒメシャラに出会う。
幹にはごつごつとした瘤、あばたが無数にあり、
小耳にはさんだツアーガイドの説明は
昔「ヒメシャラ」、今は「ババシャラ」ですと。
登山道はかなり木道で整備されていて歩き
やすい。
雨も上がり時折薄日もさし、深い森と鮮やかな
緑に癒され屋久島らしい森を満喫した。

文さん曰く「今日は雨の屋久島、雨上がりの
屋久島、晴れの屋久島」いろいろな屋久島を
楽しむことが出来ました。
12:30ウイルソン株に到着、登りでは混雑
していたので立寄らなかったが、登山客は
数名で、ゆっくり切株の中に入る。
中は10畳程の広い空洞になっており祠があり
今回の旅の無事を祈った。
中には清い泉が湧いている。雄さんが小さな
蛙を見つけ戯れていた。
13:00ここを下りて大株歩道入口に到着、
往復4時間半の実に気持ちの良いトレッキング
でした。
13:10大株歩道出発、ここから荒川登山口まで
あと8キロ、計算では2時間で荒川登山口に戻れる
とトロッコ道を飛ぶがごとく歩く。
最初の1時間は時速6キロペースで飛ばしたが、
流石に後半の1時間はペースが落ちた。
安房川には大きな花崗岩がゴロゴロしている。
雨の後は濁流(清流?)となり岩も流されるの
だろう。
このトンネルを過ぎるとはゴールは近い。
少々、うんざりのトロッコ軌道ともお別れだ。
このトンネルにはセンサーライトが付いている。
15:10荒川登山口に到着、予定通り大株歩道
入口から8キロを2時間で歩いたことになる。

今朝、荒川登山口を5:50に出て9時間20分の
楽しいトレッキングでした。 


雄さんの万歩計は39,738歩。

昨日の宮之浦岳の29,250歩より一万歩多い。  
トロッコ軌道を急いだ甲斐もあって、途中
買い物をしても昨日より1時間ほど早く吉松さん、
小野寺さんが待つホテルに到着出来ました。

18:00夕食、今日は文さんの還暦誕生日、
コース料理を頼みお祝いをした。
雄さん、小野寺さんの粋な計らいで文さんの
ビールグラスにはリボンが巻かれ、ホテルの
スタッフ10数名も集まり一緒にハッピーバースデイ
を歌い、お祝いをした。

ここで文さんの素晴らしいショートスピーチを
紹介しておこう。
奥さんにもメールしたらしい。

【還暦を迎えた日に縄文杉と話をしてきた。
「これからどう生きて行けばいいんだろう。」と
聞いたら、「わしはおまえさんの120倍生きてきたが、
何事も自然に、じゃよ。」とのことだった。】
初日、2日目は簡単な夕食で済ませたが、
今夜のコース料理は豪華、お品書きのような
料理が出た。
初日キープした残り少ない焼酎のボトルも
あっという間に飲干してしまった。
部屋に戻りスーパーで買い求めた焼酎で
2次会となったが、心地良い疲れとアルコールで
早めのお開きとなりました。
明日は最終日、それぞれの希望を聞き、
西部林道をドライブすることになったが、
どんな感動が待っているのだろう。
明日が楽しみだ。

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