九州登山ツアー:3-2(霧島連峰縦走 07.04.29)
吉松記
水島、熊本グループに続いて、三輪、
猿渡、鵜飼、竹内、吉松グループは
7時45分にえびの高原荘を出発した。

入念なストレッチの後、登りにめっぽう
強い鵜飼さんを先頭に歩き始めた。
竹内さんは例によって二本ストックを利用
しての四本足バランス歩行。
三輪さんは黙々と歩をすすめ、猿渡さん
は時々登山記録ノートにメモ書きをする
余裕を見せて、さすがに両名は九州の山
は知り尽くしているといったようなただならぬ
雰囲気を発していた。
開聞岳とは打って変わって樹林がほとんど
なく、強い日が直接差し掛かってはくるが、
汗が吹き出るほどのことはなく、さわやかな
登山日和だ。
「この山は時々振り返るのが良い」との
猿渡さんの言葉通り、小休止を取って
振り返れば不動池やいま出発したばかり
の高原荘が眼下に広がり、幸せな気分
になる。
熊本さんから時々電話が入って先行
グループの居どころの連絡が入るが、
なかなか追いつかない。
水島さんが順調な証拠と皆ホッとしながら
登り続けた。
結局、韓国岳山頂で合流し一緒に写真に
納まった。
韓国岳から獅子戸岳に向かって再び水島、
熊本グループが先に出発したが、下りの中
ほどでついに追い越してしまった。
今度は、あとから二人でユックリきてもらう
ことした。

鞍部に近づくにしたがって徐々に灌木が
密集してきたが、これがミヤマキリシマだそうだ。
最盛期には広い鞍部一帯のミヤマキリシマが
一斉に花を咲かせて、それはそれは見事な
ものだそうだが、残念ながら今回は体験でき
なかった。

折角登った獅子戸岳をまた下り始めた。
目指すは新燃岳だ。大分疲れが溜まって
きた膝にとって、ごつごつした岩の多い
下りは過酷だが、眼前のミヤマキリシマ
群生の広がりを見渡すと頑張り甲斐がある
と思う。
新燃岳まで一気に登るつもりだったが、
下山者から山頂は風が強いとの情報を得た。

昼食のカップラーメンにこだわってわざわざ
猿渡さんにガスボンベを四個も用意して
もらったのに、風が強くて使えなかったら
申し訳ない。
昼には少し早かったが、風の無い新湯新道
分岐で食事を取りながら後続組を待つことにした。
食事が済んでもまだ水島、熊本グループが
姿を見せせず、しかも携帯電話の電波状態が
悪くて思うように通信できない。
色々思案をしたり心配もしたが、熊本さんが
一緒なので問題なかろうということになって
動き出そうとしたそのときに留守電が入って
状況が分かった。
大いに安心して新燃岳を一路目指すことにした。
新燃岳山頂にたどり着いたとたんに皆感嘆
の声を上げた。
新燃岳は火口をぽっかりと開けた休火山だ。
その火口に溜まった水がエメラルドグリーン
に輝いている。
硫黄分が溶け込んだ水とその時の天気が
うまく作用して初めて美しいエメラルド
グリーンを発色するのだそうだ。

我々は実についていた。
どの位置から見ても見飽きることの無い火口
に目をやりながら、ゆっくりと外縁を歩いた。
時間が許せばいつまでもこうしていたい位で
あった。
興奮冷めやらぬ気持ちで中岳に向かった。
中岳へは比較的緩やかな山道が続いている。
遠く望めるのは名峰高千穂峰だ。
この山容がまたすばらしい。
歩くに従って少しずつ山のシルエットが移り
変わるのだが、恐らく写真ではその凛とした
山容は表現できないのではないか。
五人はそれぞれに、「ほー」とか「うーん」とか
「むむ」とかの感嘆詞を吐いていた。
さていよいよ高千穂河原に向けて下山。
途中の陽だまりに僅かではあったが
ミヤマキリシマが花をつけていた。
可憐な花です。
下山途中からタクシー会社の
「昭和10年生まれおばさんドライバー」に
携帯で連絡を取り、迎えを頼んだ。

約束どおり、河原ではこの
「昭和10年生まれおばさん」が手を振って
我々を迎えてくれた。
しかも昨日バスに忘れてしまった焼酎をバス
会社から見つけて持ってきてくれたのだ。
感謝感激。
高千穂高原からは、タクシーで高原荘に
移動した。
運転は、「昭和10年生まれおばさん」
ではなく、同じ会社の「頭の禿げたおじさん」
であったが、この「おじさん」には翌日の
鹿児島観光もお願いすることになった。
高原荘では水島、熊本グループも到着した
ばかりのところで、あとは温泉とビールが
待ち遠しいばかりであった。


4月30日桜島へ

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獅子戸岳頂上まではさして時間はかからない。
頂では風が通り抜けていて気分さわやかだ。