11月3〜5日 岡山 備前焼ツアー
      (吉松 記)

第二日(11月4日 土曜日 また快晴)
よそ様のお宅にお世話になっていることをすっかり忘れてしまって、そろいも揃って皆朝寝坊。
しっかり睡眠をとったお蔭で爽やかな朝を迎えました。
昨晩あれだけ腹一杯飲みかつ食べた
にもかかわらず、朝食はまた別腹で実に
良く入るのです。
ご覧のとおり今井邸パティオでたっぷり
いただきました。
(ん・・・この写真にも塩野和子さんは
何故か写っていませんね・・・
前日の閑話休題参照)
さて今日は、念願であった清秀さん直々の
ご指導による備前焼制作にチャレンジです。
まずは、今井邸作業場を生活の場と
している愛犬HAPPYちゃんに挨拶。
ところで、備前焼の土はどこから集めてくる
ものだと思いますか。

実は、備前の田圃の下からなのです。
栄養分を含んだ田圃の表層土をすっかり
掻き寄せて、その下から現れる土塊が
備前焼のあの輝く美しさを出す宝の土
なのです。

備前焼制作作業は、集めてきた土塊を
まず細かく砕くところから始まります。
ごらんのように、金槌で根気よく長〜い
時間をかけて砕いていくのです。
時に腱鞘炎になることもあるといいます。
こつこつと砕きながらやがて無念無想の
境地となり、頭の中で作品のイメージを
膨らませていくことが大切なのだそうです。
清秀先生が砕く作業をじっと見つめている
小野寺さんは、一体何を考えているので
ありましょうか。
我々が今回チャレンジしたのは「たたき」と
「轆轤」。
砕いた土を練って粘土状にしたものを、
文字通り叩きながら作品を作り上げていく
のが「たたき」。 ただ叩きゃあいいって
もんじゃないんだ、これが。
何を作りたいかをイメージしながら
叩かないと、ただ粘土の延べ板になる
だけだ。
だから、ぺたぺた、ペタペタ、ぺたぺた、
ペタペタ、ぺたぺた、ペタペタとみんな
真剣そのものさ。
つぎは、轆轤だ。今井先生の轆轤捌きを
とくと拝見させていただいてから
全員チャレンジ。
山内さんは今井邸訪問が二回目とのことで、
さすがに轆轤捌きも一日の長がありました。
不敵な笑みさえ浮かべる余裕を見せました。
さて、私こと吉松。先生から、「如何にしたら
轆轤上の土が同心円でくるくる回せるか」
という基本捌きをしっかりご教授いただいた
後、戦場に赴く思いで轆轤に立ち向かった
のです。
順調に茶碗が出来上がっていく、と
思いきや・・・・それは本当にあっという間
でした。
轆轤の上では無残な土の塊が空しく回って
いるだけでありました。
わが小野寺さんは突然思わぬ行動に出た
のです。
轆轤捌きにに手を焼いてしまったのか、
清秀さんの職業を瞬間的に失念してしまった
のか。はたまた小春日和で気が触れたか。
いつの間にか清秀先生に手相を見て
もらっているではありませんか。
「あなた、結構金運がありますよ」
「その割には宝くじに当たらないんです」
とか何とか話をしてるんですかねえ。
「義姉頭を下げる、義弟胸をそらして笑う」
の図。

清秀さんにとって威厳あるお義姉の
塩野さんも、轆轤を前にしてはこれも
やむを得ないでしょう。
何事にも飽くなき探究心を持ち続ける
竹内さん。

・何ゆえに土塊が轆轤の上でうまくクルクル
 回るのか。
・もしうまく回らないとしたら何故なのか。
・土塊に添える手の位置はどうあるべきか。
・肱の角度はどうあるべきか。それは何故か.

エトセトラ、etc 、えとせとら
登り窯の火入れは年に一回です。
作品は前庭に積み上げられた薪でやがて
焼き上げられます。
一回当たりで焼く薪は金額にして六十万円
をくだらないとのこと。
作品は来年焼かれて手元に届きます。
そのときは、五反田「古里」で品評会でも
やりますか。
いやはや、大変楽しい体験をしました。
全員が一人前の陶工気分になったところで、
陶房前に並んで写真をパチリ。
僅か半日で早くも備前焼の奥義に
触れてしまったような満足感で胸が
一杯でありました。
さて今井邸から一気に場面が変わります。
今井邸を後にした我々6人(範子さんもここ
からの旅に参加してくださいました)は、
瀬戸内海に浮かぶ島「頭島」に向かった
のであります。

長船(おさふね)駅からJR赤穂線に乗車
して日生(ひなせ)駅で降り、今度は渡船
のデッキでくつろぐ贅沢な身分となりました。

写真の竹内さんはにこやかですネ。
小野寺さんも笑ってます。
山内さんまでこの笑顔です。
これから訪ねる宿の露天風呂と夕食に出る
海の幸のことを考えていると、自然と笑みが
こぼれちゃうんです。
頭島の宿所は民宿「よしのや」。
思いっきり手足を伸ばして露天風呂に
浸かっていると、瀬戸内の遠景、近景に
浮かぶ島々が目の中に飛び込んできて、
「予は満足じゃ」という気分になりました。
そして、やってきました晩飯が。
やっぱり出ました、瀬戸内の鯛のお造り。
ビールをグビグビ、焼酎ガブガブ、お造り
モグモグ。うまい!!!
殻つきのしゃこ、殻つきのかき、
山盛りの蟹・・・・・・。
話なんかしている場合では無いのだ、
食うのに忙しくて。
「うちの旦那(注:かの清秀先生のことで
あります)は、今頃何を食べてるかな。
ちゃんと夕食をとれたかしら。」 ・・・・
それにしてもおいしいなー、
モグモグモグモグ。
「予は満足だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーア。」
てな具合で、民宿の夜も静かに更けていったのでありました。

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