08.05.24尾瀬(尾瀬沼)

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尾瀬二日目、朝3時に目が覚めトイレに行き外を覗くと、月と星が出ている。これなら午前中は持ちそうだと安心する。
全員3時半起床。1階の談話室に下りて朝の弁当などパッキングのし直しをする。

元湯山荘の前で写真を撮り
4時25分出発する。
外は明るくライトは必要ない。思ったほど
寒くはない。
下田代十字路まで昨日来た木道を戻る。
前方、至仏山の方向に月が出ており
まだ陽は出ていないが空は青空である。
燧岳の山頂付近の稜線が赤くなり始め
日の出は真近い。

5時に下田代(見晴)十字路に着き、
左手尾瀬小屋、第二長蔵小屋等の山小屋が
並ぶ道を燧岳に向かって進む。
ナラ、ブナ、トチノキ、コメツガ等の巨木の
樹林帯に入る。

まだこの時間は歩いている人は殆どなく、
行動しているのは我々だけである。
平成14年に木道が新しく整備し直した登山道で
シッカリしており、緩やかな登り坂である。
所々に根こそぎ倒れた倒木が転がっており、
自然の恐ろしさを感じる。
約10分進むと、左に折れる分岐があり、
燧岳登山口(見晴新道)に出る。
我々は、標識を横目に見ながら燧岳の裾野を
右から巻くようになり、木道の上に残雪が
増え出し傾斜も急になり始める。
木道上の残雪は要注意で、木道を外れると
左右の残雪の下は大きな空洞になっており、
木道の上から外れ足を踏み出すと、イキナリ
残雪が踏み抜けて膝上までスッポリはまり込む。
慎重に、下に木道があると思われるところに
足を踏み出さなければならない。
慎重に、下に木道があると思われるところに
足を踏み出さなければならない。
幾つかの沢を渡り終え、傾斜は次第に急になり
「段小屋坂」と呼ばれる斜面を登る。
次第に残雪が深くなり、木道が確認できなくなる、
しかし50センチ以上の残雪では空洞を踏み抜く
こともなく、むしろ、安心して登ることが出来る。
次第に針葉樹の樹林帯に変わり、急坂を登り
切ると、視界が開け、50m程下に一面雪に
覆われた平原が現れ、「白砂乗越」のピークに
着いた(標識は確認出来なかった)。
後は残雪の急斜面を慎重に降りる。
持参したアイゼンを使うこともなく、何とか
無事下ることが出来た。
降り立ったフラットな雪に覆われた平地は
「白砂田代の湿原」である。

この湿原を縦断し、再び樹林帯に入る。
右手には雪解け水で、物凄い勢いで流れている
沼尻川を見ながら15分ほど、木道が出たり、
埋まったりした登山道を慎重に進むと、
左手には朝陽に輝いた燧岳が眩しい。
右手に、窓、入口を閉じられた小屋
(手打ちそばが旨い休憩所だそうだが、
まだ開業してない)を通り過ぎ、暫くして
前方に尾瀬沼が見え、沼尻休憩所が現れた。
元湯山荘から約2時間半で到着した(6:50)。
沼尻休憩所は大きく、清涼飲料、コーヒーや
軽食等の販売をしているが、時間が早いため、
誰もいない。我々は、山荘で作ってもらった
お弁当と暖かい味噌汁を作り、朝食とする。
弁当も焼きサケ、秋刀魚の甘露煮、漬物、
ゆで卵、ソーセージ等のおかず付きで、
山の朝食としては申し分ない。
山荘から殆ど休憩を取らずに歩き続けてきたので、
食後に温かいコーヒーを飲んで大休止を取る。
ボートが対岸から尾瀬沼を横断して着いた。
3,4人の若い人が、何段にも積み重ね小屋に
向かって来た。
休憩所で営業する食料や飲料水を搬入し、
これからのシーズンに向かっての準備であろう。
30分ほど休んだ後、当初予定していた沼の
南側コースの登山道は崩れていてダメらしく、
20分程時間が余計に掛かるが、北側コースを
取り三平下に行くことにする。
木道はコースの半分くらい、残雪が掛かって
おり先頭を行く伊能さんは慎重に、ストック
で木道を確認しながら進む。
後ろから行く山田さんは、それでも木道を外し、
空洞を踏み抜き膝上まで潜り込む。
熊本はシンガリから二人の写真を撮りながら従う。
湿原とシラビソ林が交互に現れ、湖岸に近づき、
離れながら約50分歩くと、燧岳へのもう一つの
登山口(長英新道)が左手に現れる。
ここから一気に標高差10mを下ると、広い
大江湿原に入る。
大江湿原の対極側に沼山峠から
入った登山客が3,4人歩いているのが見える。
木道を直進すると、沼山峠、長蔵小屋の分岐が
あるT字路にぶつかる。
もう、この分岐から長蔵小屋、尾瀬沼ビジター
センターが見え10分で到着した。
沼尻から丁度1時間歩いたことになり、
ビジターセンターで休息を取る(8:30)。
ビジターセンターは既に開いており、若い
女性がこれからのシーズンに迎い準備に忙しそうだが、
愛想が良く、こちらからの問いかけにも親切に
愛嬌を振りまき対応してくれ気持ちが良い。
館内の展示物を一通り見た出口に出た時、
「10分ほど待ってくれれば尾瀬のビデオを
上映しますよ」と言ってくれたが、残念
ながら午後からの雨が心配で急ぎたいと、
丁重に折角のお誘いをお断りして先を急いだ。
伊能さんは残念そうであったが・・・・。
ビジターセンタ−から三平下まで30分の
コースは丁度、尾瀬沼を挟んで燧岳と
真反対の位置にあり、裾野までの全貌が
見渡せ最高のロケーションにある。
中でも三平下の手前では、尾瀬沼に全景が
写るベスト・ビューポイントがある。
5年前に来た時は、風が非常に強く、
大きく波打っていたため、残念ながら水面に
写る燧を見ることが出来なかった。
今日は、無風で尾瀬沼は鏡のように逆さ燧岳を
見事に投影しており素晴らしい記念に残る一枚
を撮ることが出来、リベンジが果たせた。
三平下から三平峠へは尾瀬沼に別れを告げ、
標高差100m程の急登になる。
残雪は深いところで1mを超え、雪斜面の
直登を一気に登り詰めた。
息が上がり、大汗をかき一息入れる。
記念の写真を撮って更に先へ進む。
鬱蒼とした樹林帯で薄暗い。
フラットな雪道を10分ほど歩くと、
いきなり前方が明るく開け、大きく切れ込んだ谷
を挟んで、正面に山並みが見えている。
日光・鬼怒川方方面の山々で、物見山(毘沙門山)
や鬼怒沼山の2000m級の山が前面に連なっている。
しばし景色を楽しみ、下りに入る。
南斜面のため、あれ程の厚さがあった残雪が
全くなく登山道もシッカリしており安心して
急斜面を下ることが出来た。
山肌にはピンクのショウジョバカマ、
白いミヤマミミナシグサ(?)、ピンクの
イワナシ、薄紫のタチツボスミレ等の花が
次々と現れ彩を添えている。
急下りの途中、大勢登ってくる団体に出会う。
まだ幼顔が残っている中学3年生男女100名の
大勢で、中には既にバテバテの子もいる。
引率の先生は男性二人で一応登山の格好は
している。一方、中学生の姿を見て愕然とした。
何と靴はスニーカーで装備も遠足に毛が
生えた程度で、衣装も街中を歩くのと同じである。
聞けば、これから三平峠を越え、尾瀬沼に入るという
(尾瀬沼の山小屋で一泊)。
今日も午後から雨、明日も一日雨予報で、
こんな状況で残雪が1m近くある山登りで、
直ぐにスニーカーはグショグショに濡れ、
先生方は何を考えての行動だろう。
事故が起きなかったら不思議なくらいである。
無謀な計画の責任はどうなるのであろう。
我々は心配しながら彼らが何もなく無事に
下山して家に戻ることができることを祈って、
彼らを見送った。
11時に広い林道に出ると直ぐ茶店があり、
ここで一服休憩する。
冷えたトマト(2個\100-)が実に旨い。
わらびや花豆を土産に買い込み、
平坦な砂利道を、ただ黙々ヒタスラ歩き、
1時間コースを45分でこなし、
大清水についた(12:00)。
これで二日間全ての歩行程は無事終了し、
ホット一息つく。
帰りのバス(12:55)を確かめ、茶店に入り
蕎麦で昼食にすることになった。

店の前に大きな鍋で、朝取り山菜の
天麩羅を揚げておりこれが、いい香りを
撒いている。
これを頼み、先ずはジョッキで、無事下山
と二日間の成果に乾杯! 喉が鳴った。
沼田駅には14:50に着いて暫くして、
雨がパラパラと落ちてきた。
15:10の水上4号で帰路に着いた。

二日間とも好天に恵まれ、尾瀬ヶ原の水芭蕉、リュウキンカを始めとする高層湿原の花々、
尾瀬沼への残雪登山、尾瀬沼に写る逆さ燧岳を経験することが出来、大満足でした。


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