08.05.06 両神山 


マップ (地図ソフト「カシミール」より)

「かおる鉱泉」に泊まった翌朝。本日の出発時間は5:30であるが、熊本はいつもの習性で4時に目が覚めた。
他の人は未だ眠っており音がしない様に、注意してトイレに行ったが廊下はギシギシと大きな音を響かせて、
結局、全員の目を覚ますことになった。昨夜頼んでおいた朝食のオニギリを食べてから出発しようと、
大きな2個のオニギリを一個だけ食べ身支度をして5時に出発することにした。
昨日の雨は上がり、雲一つ無い快晴となり、本日の山行は快適に登れそうである。

車にザックを詰め込み、駐車場に咲く
オオデマリの前で出発の集合写真を撮り、
車に乗り込んだ。
目的地をナビに登録しようとしたが欠陥ナビは
言うこと聞かず、20分程ロスってしまった。
10分ほど走ったところにコンビニがあり、飲料水と
昼食を仕入れる。
気がつけば、コンビニの前から朝陽に輝いた
「両神山」が正面に見え、全員やる気で奮い立つ。
薄川沿いに林道に入り、約30分で登山口の
日向大谷 両神山荘駐車場(\500)に到着
(標高670m)。
ここから両神山の山頂は望めないが1300m
ほどのピークが見え、その山頂付近は桜と
ヤシオツツジでピンク色に染まっている。

登山準備を整えて、スタート写真を撮り、
山頂まで標高差1100m弱、4時間の登りで、
戻り14:30を目標に6:15に出発する。
石垣の下にオダマキやタチツボスミレが咲く
民宿の山畑を横切るように木橋がつけられており、
これを越えると直ぐ檜やブナの林に入る。
緩やかな細い山道を登ると鳥居が、また小さな
お堂もある。武甲山と同様に何丁目かの石柱も
あり、この登山道が参道であることが判る。
両神山はイザナミ、イザナギの両神を祀ってあり、
修験僧が修行した信仰の山である。
暫く山裾を時計回りに巻きながら高度を上げて行き、
熊本が先頭にペースを作り、小野寺さん、竹内さん、
堀さん、シンガリは雄さんの順で進む。
30分ほどで会沢の分岐に出る。
産泰尾根の左を取ると七滝沢コースであり、
我々は左の薄川沿いの沢コースを進む。
所々にオレンジ色のヤマツツジが咲いて、
新緑の若葉に彩を添えている。
沢に向かって緩やかな下りで30mほど高度を
下げ、沢に出て木橋を越えてジグザグの登山道
で高度を稼ぐ。
4回ほど沢を渡り返して更に上流に向けて傾斜が
きつくなる。沢の折り返しは幾つか、沢中の石を
飛びながら越えていくため、増水時には困難を
極めるだろう。
Tシャツ一枚でも汗が流れ落ちるが、昨日の
武甲山と異なり空気が乾燥しているため、汗を
かいても直ぐ乾き気持ちが良い。
登山道の両脇には濃い紫色のヒイラギソウや
ラショウモンカズラ、ヤマネコノメソウ、
薄紫のムラサキケマン、黄色のミヤマキケマン、
の群生が続き、目を奪う。
更にミヤマエンレイソウ、ハシリドコロ等、春の
高山植物が満載で飽きることがない。
山のピークではないが「八海山」の標識が
あるところに着いた(7:50)。
既に登山口から90分強登って来て標高1100m
近くになっている。
30分ごとに5分の休憩を取りながら登っている
ため、全員快調な足運びであるが、これも快晴と
各種の高山植物に遭遇して気分の切り替えが
出来ているのも幸いしているのだろう。
八海山辺りから山肌一面に二輪草が群生し
始め、お花畑の登山となっている。
雄さん曰く「これが男の花道だ」。
更に延々と続く二輪草のお花畑を約30分登ると
「弘法之井戸」の標識に出た。
標高1250mを越えて、そろそろ清滝小屋に着く
はずと思いながら、数分登ると前方に小屋が
現れた。
1280mにあるログハウス風のシャレた
清滝小屋に8:35到着。
ここで大休止を入れ、残りの朝食オニギリを
腹に入れる。

目の前に見えるピークにサクラ(薄いピンク)と
ヤシオツツジ(濃いピンク)が綺麗に咲いている
のが見える。
ここまでで、標高600mを約2時間強で稼いだが、
山頂まではまだ半分の道のりでしかない。
これからの急登に備え20分ほどユックリ休息
を入れ、両神神社に向かって「鈴が坂」コースを
登る。
この辺りはコバケイソウが一面に生えている。
この辺りから展望が開け、二子山等の秩父の
山並みが見え出し、遠望を楽しみながら急登に
一歩一歩足を引き上げて行く。
10分ほど登ると最初の垂直10m鎖場に
出くわした。
岩場は適度の手掛り足掛りがあり、鎖に
頼らず三点支持で難なく登りこなす。
更に20m、10mの鎖場が次々と3度、現れ
これも難なく登攀できた。
これも岩場が濡れていたら難儀しただろう。 
垂直に近い鎖場を短時間で登り終えて、
一挙に高度を稼ぐことが出来た。
清滝小屋から約1時間で両神御嶽神社に
9:50に着き、ベンチで小休止を入れ、
安全祈願のお参りをする(1600m)。

この神社を守るのは狛犬ならぬ狛狼だ。
残すところ山頂まで30分で標高差約120mを
詰めれば良い。
一旦20mほど下り、10分ほどで緩い登りに
なると、木の間から富士山から頭を現している。
突然、山頂が見えた。直立した岩峰である。
最後の直立した岩場を登り切ると山頂に立つ
(10:35、1724m)。
山頂の岩峰の先端には古木のヤシオツツジ
が一枝満開に咲いて天空に突き出ている。
青空にピンク色のヤシオツツジが鮮やかに映え、
更にその先には、稜線を真っ白に冠した残雪の
八ケ岳が控え、この素晴らしい景観は、
多くの山頂に立ったが初めてであり、全員感激する。
見渡せば360度の展望で南アルプス、八ヶ岳、
富士、秩父山塊の雲取山や金峰山が見える。

参考リンク:
CGパノラマ100名山 両神山

この景観をユックリ堪能していたいが、
岩峰の山頂は狭く、次から次と登ってくる
登山者に譲らねばならず、両神山の標識を
囲んで登頂記念の写真を撮って早々下りに入る。
両神神社まで来た道を戻るのだが、先行した
堀さん、竹内さんが急に姿を消した。
いやに逃げ足が速いと後続の小野寺さんと
熊本で話していると、上方で「熊本さーーん」
と呼ぶ声がする。
どうやら途中で別コースに入ったらしい。
結局、小野寺さん、熊本が先に両神神社に
着き、暫くして堀さん、竹内さん、雄さんが
追いついた(11:20)。
二つあるベンチの一つを我々で占め、昼食
とした。
梅酒で山頂を極めた乾杯をして、コンビニで
調達した食事にありつく。
隣のベンチには清滝小屋で会い、終始相前後
して登ってきた単独登攀の女性がいた。
彼女から大きなトマトを二個頂き、感謝感激。
このトマトが実に旨い。
30分ほどノンビリ昼食休憩を取り、
いよいよ連続する鎖場の下りに入る(11:50)
垂直に近い鎖場の下りは足元が見えない
ため、登りよりも時間を掛け慎重に下る。
三つの鎖場を無事下り終え、12:35清滝小屋に
戻った。
難所はこれでほぼ完了し、あとは600mの標高を
淡々と重い足を引きずりながら下りきれば良い。
陽が上空から差込み、お花畑が一段と
鮮やかさを増し、ニリンソウも来た時よりも
太陽に向かってめいっぱい花を開いている。
ヒイラギソウ
キジムシロ
可憐な花に励まされ、重い足も幾分か
軽やかになる。
ミヤマハコベ
沢を数回渡り返しながら急斜面をヒタスラ下る。
時々休んで新緑のさわやかな酸素とマイナス
イオンで元気を補給する。
ヤマツツジが目に入りだし、
分岐の会所までくれば、後は山腹を巻きながら
緩い登りくだりを繰り返し、
ウツギも満開
30分で登山口の両神山荘駐車場に、
14:30Just予定通りに無事全員到着し、
ホット胸を撫で下ろす。

昨日の武甲山の標高1000m超の下りに
引き続き、連チャンで1000mを下り切り、
我々の年齢を考えると良く頑張ったものである。

これで日本百名山をまた一つ制覇する事が
出来た。
満開の石楠花がまぶしい。



ザックを車に詰め込み今度は温泉だ。

近くに日帰温泉「薬師の湯」と国民宿舎
「両神荘」があり、薬師の湯はいつ訪れても
込んでいるため、雄さんの提案で国民宿舎
両神荘」に向かう(\500)。
予想通り空いており、内湯、露天風呂とも
我々の他に二人しかいなく、穴場だ。
露天風呂の温泉は茶色の湯の華が無数に
浮いており、人垢なのか、水垢なのか見分けが
つかず、あまり気持ちの良いものではない。
しかしツルツルした良い温泉である。

50分ほど入浴休憩し再び車で、西武秩父駅に
向かう。しかし荷物の詰め替えを行っていると、
竹内さんが「ストックがない!」と叫んだ。
登山口の駐車場にあるトイレ前に置き忘れたのだ。
早速、両神山荘に電話し確認して貰ったところ、
見つかり、宅急便で送付をお願いして、
一件落着した。
今年のハプニング対象のノミネート候補である。
走り始めて暫くすると、昨日登った武甲山が
正面に今日はハッキリと大きく全容を現している。
こちらから見る姿は全面削り取られた跡を
見せ、いかにも痛々しい姿である。

危惧した渋滞もそれほどでもなく、何とか
レンタカーの返却時間17:00に15分を残し
間に合った。
特急の出発まで30分あり、駅構内の仲見世
土産店が連なるなかに蕎麦屋があり、飛び込んだ。
残念ながら酒は置いて無くそばだけ食べて
17:25発のレッドアロー号の人となった。

早速、缶ビールで乾杯する。
勿論、今日の両神山行に堪能し全員満足した顔
である。
堀さんが自宅から持ち込み二日間飲めずにいた
「純米酒」にやっとありつけ瞬く間に4人で空にする。
話題は今日の両神山の話で尽きない。
1時間で所沢に着き、ここで雄さんとお別れする。
「雄さん、二日間のドライバーお疲れ様でした、
有難うございます」



残った4人は終着池袋で解散。
皆さん、お疲れ様でした。
充実した両神山で思い出に残る山行の一つに
なるであろう。

次回は屋久島の縄文杉、宮之浦岳と、同時に並行開催する尾瀬の予定です。

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