7月25日〜28日 剱岳・立山

参加者 青木、堀(記)

青木さんと堀の2人、7月25日(水)から34日で剱岳・立山へ行ってきました。

今回の登山は、当初、南アルプス白峰三山縦走として企画したのですが、台風4号などの

影響で登山口の広河原に入る道路(甲府と身延の2つがあります)が崩壊、開通見込みが無く、

急遽、目標を変更することになったものです。

最終日の奈良田温泉の予約金まで送金済みだったんですが・・・やはり南アルプスは山深いです。


さて、本題の剱岳・立山登山レポートです。

725日、堀は八王子発11:31のスーパーあずさ15号で松本へ、ここから大糸線に乗り継ぎ

信濃大町着14:57。ここで長野から先着していた青木さんと落ち合い、駅前の喫茶店で先ずは作戦会議。

今夜の宿を駅前の観光案内所で紹介してもらい、バスで大町温泉郷に。このバス代¥510

先週、奥飛騨温泉郷で買ってきた私の帽子は¥500(忘れ物しても心配ない)


黒部観光ホテル(三井観光グループ)
http://www.kurokan.com/

さっそく一風呂浴びて、和・洋・中華、何でもありのなかなか
豪華なバイキング形式の夕食でまずは乾杯。



翌朝の朝食も同じくバイキング形式で、メニューも豊富。これで一泊
2食付¥10,500はお勧めです。

風呂は室内、露天風呂、サウナもありです。(日帰りはやってないようです)

 

26日(木)、今日は黒部アルペンルートで室堂へ、そこから別山乗っ越しを経て剣山荘(泊)が予定のコースです。

昨夕から雨が降ったり止んだりの天気模様で、今日の予報も芳しくありません。

大町温泉郷(発)7:23バスで扇沢へ。宿を出る時は薄日も差す状況でしたが、扇沢につく前から再び雨模様。

扇沢からトロリーバス。若い方は多分知らないでしょう。パンタグラフ付のバスです。

日本では、今はここアルペンルートでしか走っていないそうです。

全コース、トンネルです。排気ガスの出ない電気自動車。黒部ダムは、関西電力の施設ですから、その面からも

電気優先ということでしょう。

トロリーバス

黒部ダムでトロリーバスからケーブルカーに乗り換え。
この乗り換えには黒部ダムのアーチ式ダムの上の舗道を徒歩で

移動します。
ここで雨の降りが強くなって景色も見えにくくなってきました。
ダムではおなじみの観光用の放水中。

ケーブルカーといっても、ずっとトンネルの中を登って行きます。
黒部平で、今度は立山ロープウェイに乗り換えです。

これはさすがに空中です。“天気がよければ、後立山連峰のすばらしい景観がご覧になれます”
というアナウンスがむなしく
響き、何も見えない大観望着9:37

黒部峡谷の碑

ここから再びトロリーバスでトンネルの中を走って室堂着9:55
外はかなりの降りで、これではコースの途中で昼食を
摂ることも儘ならない。
そこで随分早すぎる昼食を摂ることにし、「そばコーナー」へ。

観光客が、することも無く駅ビル内にあふれている。

  立山の文字の入った蒲鉾に注目

 

食後、意を決して雨具を身に着け10:50室堂駅を出発。駅を出るとすぐ左手に早くも雪が残っている。

今年は残雪が多いとのことだったが・・・

ミクリガ池を右手に見て、石畳の遊歩道をしばらく行くと硫黄の匂いが漂ってくる。地獄谷です。

グツグツという感じでガスが湧き出ています。
(雨の中、カメラを取り出す余裕は無く、歩行中の写真はありません)

小一時間の歩行で雷鳥沢キャンプ場、この先、雪渓となり緩やかな下りを下りきったところは沢となっていて、

角材を2本括っただけの橋。この先で、本来は右手に折れて雷鳥沢沿いの雷鳥坂を急登して別山乗越へ出るのが

本道のようです。しかしこのルートは雨天では“登山道が沢のようになってしまう”とガイドブックにあったので、

左へ進み、新室堂乗越から尾根筋を通る道を選択。

黄色いペンキのマークを目印に沢沿いに少し行くと雪渓が現れ、ここで黄色のマークが途切れてしまう。

やむなく右手の踏み跡と思しき斜面を登って行くと「う〜ん、こりゃぁ道じゃないみたいだ」

最悪のときは、下まで降りる覚悟で、ここにザックを置いて空身で偵察。右手の雪渓を目印にしばらく斜面を登って

みるが何も無い。“もう少しだけ先まで”と行ってみると「ありました」尾根道発見!マークもある。

本来の道をショートカットしたようです。

ここから尾根の少し下にある道を行くが残雪がかなりあり、雪道に近い。

下山してきた数人のグループ、さらに指導員に出会い、話を聞くと我々がルートを見失ったあたりは分かりにくい

所のようだ。マークは無雪期用と思われ、残雪があるとあちこちで途切れているうえ、方向指示の標識などひとつも

見かけない。

幸い雨はほぼ上がったので、堀はレインウェアを脱いで畳む。「さて、行こうか」途端にまた降り出す。
(気持ちが萎える

アルペンルートの案内では“室堂の視界0.1Km”とあったが、今はせいぜい20mではないか。ともかく何も見えない。

「そろそろ、剱御前小舎じゃないのかな。それにしても何の音も聞こえないね」などと言っていると突然、目の前に変な

建物が・・・なんと公衆トイレ。「小屋は何処だ」

トイレの30m先に剱御前小舎はあった。(標高2760m

小舎で翌日の宿泊を予約。

ひと休みし、剣山荘へ。ここからは下りとなる。(300mも下るんです。もったいない)

すぐに大きな雪渓を横切る。剣山荘まで大小78ヵ所もの雪渓があります。

 

写真は翌日(7/27)撮影したものです。大きい雪渓は、幅150mはあります。

しかし、雨の中、地形も何も分かりません。雪渓の向こう側までも見えません。

慎重に歩みを進めること一時間、またまた唐突に小屋が現れました。

剣山荘(標高2475m)です。14:50着。雷鳥坂経由の当初計画で15:00着でしたから、予定通りです。

この天候では道草も出来ませんから・・・

剣山荘、小屋が雪崩で全壊してしまい、昨年は休業していました。今年7月、小屋を再建し、営業を再開。

新しい小屋はいいですねぇ。

新築なった剣山荘

先ず、寝具は全て新調。おまけに男女各3つのシャワールームがあり、汗を流すことが出来ます。

剱御前小舎のお兄さんが「何でもシャンデリアが3つも点いているそうですよ」とか言ってたが、それはガセネタ。

そこまではいくらなんでも・・・“やっかみ”でしょう。

雨に濡れたレインウェア、帽子(¥500)、靴などを乾燥室に干し、シャワーを浴びて一休み。外に出ると雨は
上がって、
空が明るくなってきたようです。

剣岳八ツ峰16:30

 

 

剣山荘小屋周辺のお花畑

 ハクサンイチゲとシナノキンバイ

  コイワカガミ

 イワツメクサ

  コバイケイソウ
 

特にコバイケイソウのみずみずしい群落はみごとでした。明るい緑の葉と白い花、この花の美しさを再認識しました。

17:00〜夕食(我々は早組)。18時過ぎにはもう寝てしまいました。

10時頃、起き出して戸外に出てみると満天の星です。明日の天気は大丈夫でしょう。

 

 

727日(金)

いよいよ今回の本命、剱岳へ。

17:30朝食。体操をして6:10小屋を出発。

朝の別山(右の山陰の鞍部が別山乗越)

 

急登30分で一服剱(2618m)

 

富山側は一面の雲海

 

ここから先は、岩とクサリと雪渓の世界が展開します。

脚だけでなく、手と全身を使ってよじ登るという表現がピッタリです。そんなわけで、カメラはザックに

仕舞わざるを得ません。

1時間ほどで前剱(2813m7:50着。ここからは加賀白山が剣岳山頂もいよいよ間近に迫ってくる。

 

有名なカニのタテバイ(登り)、ヨコバイ(下り)は頂上の少し下です。

タテバイ(人が登っています)

9:50剣岳山頂(標高2999m)に立つ。写真は順番待ちである。皆さん2999mの表示板を手に持って写真に

納まっていました。(古びた2998mの板もありました)剱岳はこれまで2回標高が変わっており、3000m

だったこともあるんです。

今回(平成16年)の変更で3等三角点が設置されたので多分長期間、今の標高は変わらないと思われます。

(参考)http://www.gsi.go.jp/WNEW/PRESS-RELEASE/2004/1028-2.htm

なお、「熊本さんの読んだ本」リストにもある新田次郎「剱岳 点の記」が映画化され、2009年公開予定
(東映)です。

 



 

北から白馬岳、五竜岳、鹿島槍と後立山連峰が屏風を立てたように連なる。更には富士山、槍の穂先も遠望できる。

快晴、360度の眺望、下山するのがもったいないようです。

 

小さくて分かりませんが、この壁に3人取り付いています。

下山もヨコバイはじめクサリ場、長いハシゴなどがありますが、すべて新しいステンレス製で慎重に行動すれば、

それほど危険ではありません。それにしてもこの山にも元気なおばさん、おばあさんが登ってくるのには驚かされます。

脚力のほか岩登りの初歩的なレベルくらいは要求されるのですから、相当いろいろな山を登っていらっしゃるので
しょう。

 

ミヤマオダマキ

剣山荘に戻って、まずは昼食。カレー¥1,000。味まあまあ、具はあまり見当たらない。

今日の泊りは別山乗越の剱御前小舎なので、残していった荷物をパッキン。昨日は雨と霧で何も見えなかった道を、

今日は快晴の中、300mの登りと78本の雪渓を横切って、剱御前小舎着16:00

 

 

17:00〜夕食後、夕暮れ。標高があるので、日没は19時過ぎ。明日の天気予報が良くないが、何とか午前中はもって
欲しい。

 剱岳をバックに

   夕日に染まる剱岳

 

   沈む太陽

 

 

728日(土)

とうとう今回の山行も最終日となりました。

外に出てみると雲が飛ぶように流れ、風が強い。時間とともに雲の高度が下がってくるのが分かる。

立山コースを断念して下山すべきかどうか考えながら、5時過ぎに朝食。

身支度をして外に出るが、この一時間ではそれほど大きな変化は無いようだ。この様子なら、午前中、

何とかもってくれるかもしれない。

6時、立山へ向け出発。30分で別山(標高2874m)。天候悪化を示すように、ガスで視界が悪くなって

来つつあるが、まだ室堂平が見える。ケルンが積まれたなだらかな別山山頂の北東すぐに北峰が見えるが、

ここはパスする。

真砂岳(2861m)への尾根筋をたどる。

真砂岳の手前で尾根筋と尾根の下を行く巻き道があり、風避けのため、巻き道を選択する。ところがこの道は、

山頂を通らず、その先で尾根道と合流。内蔵助カールという氷河地形の谷の上で、帽子を吹き飛ばされてしまった。

帽子は雪渓の上まで飛んで行ってしまい、結局、使い捨てということに。

無帽では水滴が髪について、ポタポタ落ちる。眼鏡も水滴が付いてよく見えない。眼鏡を外して手に持ち、

富士の折立(2999m)の急な登りにかかる。気温も小屋を出る時より3°くらい降下して、5℃以下と思われる。

(時計の温度表示では最低2.4℃まで下がったが設定が少し低過ぎ正確なところは不明)富士の折立は尖塔のような

面白い形のピークですが、ガスがひどく写真を撮れるような状況ではありません。こんなところにも、立山縦走の

ご婦人の集団が来ています。富士の折立を後にして今回の最高峰、大汝山に。大汝休憩所という茶店にザックを置いて

大汝山頂(3015m)を往復。単独行のお兄さんとお互いにシャッターを押し合い、最後の写真を撮りました。

8:45は予定よりだいぶ早いが、この天候では当然。

大汝山(3015m)

大汝山からは、雄山神社のある信仰登山の雄山(3003m)へ。ここは最高点が神域になっていて拝観料を払って

入るのですが、所詮何にも見えませんのでパス。

雄山は富士山同様、登山者と言えない子供会や町内会?の集団などが大挙して登ってきます。一の越への下りは、

こういう大集団とのすれ違いで遠慮していると歩けません。

一の越の手前で、ついに降り出しました。一の越で雨具を着け、観光道路並の石畳を室堂へ下ります。それでも

石畳はところどころ雪渓に埋まっています。悪天候と低温の中、子供連れで登ってくる人も絶えません。

運動靴程度で雪渓の昇り降りは大変でしょうに。あんまり無理をしない(させない)でほしいですね。

室堂に着き昼食という予定でしたが早過ぎるうえ、混雑がいやなので、雨具を片付けてすぐにトロリーバス

・ロープウェイ・ケーブルカー・トロリーバスと乗り継ぎ、扇沢駅に。

大町温泉郷で入浴・食事のつもりで、バスの切符売り場に行き、聞いてみると扇沢にも“徒歩5分のところに

日帰り入浴できるところがある”とのこと。教えてもらった扇沢ロッジで入浴。フロントで食事をしたいと

言いながらメニューを覗き込むと、フロント係のおやじ「食事は宿泊者用です」ということで断られ、

「入浴は3時迄にしてくれ」とのこと。

食事もしないで1.5時間も居られやしません。愛想の無いおやじで、帰りにこちらが「ど〜も」とか言ってるのに、

知らんぷり。入浴料¥500ですが、お勧めしません。

扇沢駅に戻り、青木さんは長野直通バス、堀は信濃大町行バスの乗車券を買って、駅の軽食コーナーで昼食。

15時過ぎのバスに乗り込みました。青木さんは5時半、堀は9時過ぎに帰宅し、無事、今回の山行を終了しました。

クマさん会目次に戻る