05年10月7、8日 木曾駒ケ岳
新宿7:00、八王子7:29でスーパーあずさ1号に乗り込んだのは、熊本、原田さん、鵜飼さん、高橋文さんの
4人で今回の木曾駒ケ岳登山のメンバーである。朝6時の天気予報では両日とも曇り/雨とのこと、今回は
終日雨で遠望も全く期待出来ないであろうと覚悟を余儀なくされた。
8:20塩山を通過、南アルプスは雲の中に
沈んでいたが甲府にくると上空には青空
が広がっており、期待を抱かせる。
9時茅野駅からは八ヶ岳の山頂も雲が
切れてきた。

八ヶ岳

岡谷で飯田線に乗り換え(9:35)、駒ヶ根
に向かう。
右手に見える甲斐駒や仙丈岳の南アルプス
には雲は全くなく、青空に囲まれている。
一方左手の中央アルプスは厚い雲が被り、
両極端である。
10:51に駒ヶ根に到着。駒ヶ根は中央アル
プスの玄関口で町は予想以上に大きい。
11:00発のバスはかなりの空席を残して
出発した。山麓から中腹にかけてヘアピン
カーブの連続で高度をどんどん上げ、標高
1300mを越えると、紅葉が始まり、東の方に
目を移すと、谷間から甲斐駒が青空によく
映えて見える。
約50分で1622mの「しらび平」に到着する。
6年前に来た時はロープウエーに乗る人で
ごった返し、整理券が発行され、1時間半
待たされたが、紅葉シーズンとは言え、
金曜日のせいか、20人ほどが並んでいる
だけで、我々と同じバスで来た全員が61人
乗りのロープウエーに乗ることが出来た
(12:00)。
標高2000mを越えると、ナナカマドが真っ赤
に染まり、切り立った壁の木々が赤や黄色で
紅葉は真っ盛りであるが、ガスが濃く一面を
多い始め、7分で頂上駅の千畳敷(2612m)
に着いた。

千畳敷は視界が20mあるか無いかで、
風も強く寒い。
本来なら正面に見える尖った岩山の宝剣岳
を初めとする岩山の崖がパノラマに広がる
絶景ポイントだが、視界20mの濃い一面の
ガスでは全く闇の世界で無、無、無。
虚しいこの展望台で、昼食を取る。
この展望だけを楽しみに往復¥2200で
ロープウエーに乗って来た大勢の観光客は全く
気の毒としか言い様がない。

宝剣岳

参考写真:2001年10月7日の千畳敷
         高橋(雄)撮影

早々と昼食を取り、登りに入る。千畳敷を
約半周するが、濃いガスの中でも、一面の
紅葉はカメラにはトテモ写らないが、肉眼
では見える。
ナナカマドは赤い実を鈴なりに実らせ、
葉は赤から黄色に色褪せ始めている。
何とかカメラを近づけ、数枚トライするがガス
でハッキリ撮れない。
今回のHPに紹介する写真は残念ながら
何も無いかも知れないと心配になる。
15分ほど半周して、いよいよ九十九折の
八丁坂に取り付く。
大きな石(岩)が積み重なった登山道を
注意しながら、両側に切り立った岩や壁
があるのだが、周りの景色を眺める必要
もなく、ただヒタスラ足元を見ながら高度を
稼ぐ。
約40分で八丁坂を登りきり、標高2800m
の浄土乗越に出る(13:30)。
広い鞍部で強い風が吹き抜ける通り道で
ある。素手の指が痺れるほどの寒さで、
恐らく気温は数度であろう。
登山道の案内地図を確認するが、目標物
は全く見えないので、方向感覚だけを頭に
いれる。
湿気で眼鏡は濡れて前が見えなくむしろ
危険で、鵜飼さん、熊本も眼鏡を外した方
がハッキリみえる。

ここからの登山道には危険地域に入り込
まないように、グリーンのロープが張られて
おり、道に迷うことはなく、標識も随所に
あるため今日のような視界の無いときは
助かる。
この様な状況では岩につけた赤い◎や
木につけた赤い布等の方向指示は
まったく役立たなくロープの道しるべが
無かったら遭難は間違いない。
二つの山小屋を超え、本日宿泊する頂上
山荘に向かう。予定では後、一時間程で
着くはずであり、その前に中岳のピークを
越えて、木曾駒ケ岳山頂に向かう途中に
小屋はある。
いよいよ中岳の登りに取り付く。岩山で
あるが、大きな石が重なりあったガレ場で
慎重に登る。
30分で中岳山頂(2925m)に到着し、
何とか登頂写真を撮って木曾駒の山頂に
向かって一旦下りに入る。

風は益々強くなり、突風に煽られ体の
バランス取りながら、急な下りを慎重に
降りる。岩や石は濡れているが、滑らない
のが唯一助かる。
20分ほどで下りきり鞍部にでる。
右手方向に山小屋が現れ、頂上山荘のはずだ。ホット一安心し、小屋に向かう。やはり本日宿泊する頂上山荘だ。
しかし、何となく様子がおかしい、中から明かりが漏れていない。しかも入口は鍵が掛かっており、人の気配も全く
ない。予約をいれてあったのに、何と言うことだ。ガスが濃いせいか4時か5時頃に感ずるが、実際にはまだ2時を
少し回ったところで、時間は十分にあり、焦ることはないが、兎に角、今夜の宿を確保しなければと、木曾駒山頂を
目前(登り20分ほど)にして宝剣山荘まで戻ることを決断する。
中岳山頂で携帯は、アンテナが何とか一本立っているが、気温が低くバッテリーが低下し、なかなか掛からない。
ヤット、通じると土日のみ営業で平日はやっていないとのこと、予約は8日(土)になっているとの返事に唖然。
しかし、宝剣山荘の泊り客は少なく、本日の宿泊OKとのことで、何とか宿を確保する。
3時前に、宝剣山荘に到着し、チェックイン。
定員250人のところ本日は30名程度でガラ
空き。
6人部屋に4人とシーズン中では考えられない
優遇?(一泊2食\8000-)。
我々は何とか雨には降られなかったが、
湿気を含んだガスで頭はびしょ濡れ。
ヤット緊張から開放されホットし、ストーブで
暖かい食堂に降り、夕食(5時半)まで一杯
やりながら、のんびり過ごす。4時ころから
雨は本降りになり、風も更に強くなっており、
早めに山小屋に到着し良かった。
夕食は白ワインの食前酒がつき、
ハンバーグ、サラダ、ハム半切れ等で、
マアマアである。
食後、ストーブで暖をとりながら歓談を
していたが、瞼が自然に下がってきて
文さんと熊本は6時過ぎに布団に潜り
こむ。寝具は山小屋にしてはフカフカで
気持ちがいい。横になったら直ぐに
鼾をかいて眠ってしまった。夜中何回か
目を覚ますが、雨と風の音を聞き直ぐに
再び眠りに入る。
朝4時にトイレに起き、外を覗いたが
雨がかなり降っており、風は強く再度
木曾駒山頂へ行く気を削がれる。
6時朝食、生卵、焼き鮭、フナの甘露煮、
温かい味噌汁などで腹ごしらえする。
我々はこの天候で、木曾駒山頂は次回の
楽しみにとっておき、今回は温泉に直行で
意見一致。
晴れていれば、伊那前岳(2882m)を越え、
うどんや峠から北御所登山口に下る5時間
コースを予定したが、このガスと風では
ロープウエーで降りる最短コースに決定する。
下山準備していると、女性から一緒に下山
して欲しいと申し入れがあった。
勿論ウエルカムの返事。昨日の飯田線、
バス、ロープウエーで一緒に来た5人の女性
パーティーでその内の2名が真っ直ぐ下山
するという。子供がサッカーチームの奥さん
達で山登りを楽しんでいるという。
一緒に写真を撮り、7:15に下山開始する。
雨はあがったが、濃いガスと強風は相変
わらずだ。
八丁坂の下りに入ると、後ろの壁に遮られ、
風はなくなり、安心して降りられる。
この天候のなか、20人、30人の登山ツアー
が次から次へと登ってきて途切れない。
登山ツアーは約束を果たすため、天候に
係わらず、目的を達成のために強行する。
いずれも中高年の登山者でこの時間
(朝8時前)に登ってくるには、今日中に下山
するのだろうか。
悪天候で誠に気の毒である。無事下山を
祈りつつ、我々は千畳敷を一周し、山頂駅
に到着した(8:15)。
無事女性二人を駅舎まで届け、3人を待つ
彼女らとここでお別れする。
我々は雨具を脱ぎ、8:40発のロープウエーで
降りる。しらび平は雨が降っており、9:05の
臨時バスに乗り、バスセンターまで25分で
着く。温泉は10時からで未だ早すぎる。
この近くで歩いて20分程のところにある、
天台宗で南信州随一の祈願霊場として
由緒ある宝積山光前寺に行くことにする。
約700年前、光前寺に早太郎という山犬
がおり、怪物退治したと伝説があり広く
信仰を集めた寺で、自然自生のひかり苔
や、更に名勝庭園があるなど、文化財
保護法による国の名勝に指定されている。
丁度、十王地獄絵の屏風絵が公開されて
おり、1時間ほど、境内、本坊内、庭園など
を観賞した。
いよいよ最後のイベント 「早太郎温泉 
こまくさの湯(\500))へ11時に入った。
2日間の汗を露天風呂とサウナで流した
あと昼食。原田さん、鵜飼さんはこの地方
名物のソースカツ丼(\800-)を、文さんと
私はトン汁定食(\600)をチョイスし、宴会
は車中でということで、取り敢えず缶ビール
で乾杯し、即食事に入る。カツは分厚い
ロースで原田さんは大満足し、大きな
丼一杯盛られたトン汁も美味く、値段が
安く美味く全員大満足。
1時に客を届けたタクシーで駒ヶ根駅へ15分で着く。あずさ26号の指定を取り、14:03の始発で岡谷に向かう。
地酒(夜明け前:純米吟醸生一本)を駅前の酒屋で調達し、早速宴会開始したが、20分で空にし、岡谷で更に
ワインと真澄を調達、これも瞬くまに明け、持参したウイスキーと次から次へと空にして、例によって延々と宴会
は続く。17:30八王子で解散となった。

伊那地方では甲斐駒ケ岳を「東駒ケ岳」、木曾駒、中岳、宝剣岳を総称して「西駒が岳」という。
今回の木曾駒ケ岳山行は霧を通しての紅葉を楽しめたものの、展望はゼロであったが、西駒の中岳(2925m)
を二度も登頂したことで、満足感はあり、木曾駒の山頂と展望は次回へ楽しみを残したということで締めくくった。
皆さんお疲れ様でした。
参考リンク:パノラマ百名山 木曽駒

その実写は高橋(雄)の山のパノラマ写真の中の中央アルプス宝剣岳、木曽駒
にも掲載しています。
ちょうど高橋(雄)も2001年10月7日に登っていました。

クマさん会目次に戻る