5月連休登山は、那須岳（01年）、日光奥白根山（02年）、瑞牆山・編笠岳（03年）と残雪の山に
登っているが、今年は、初めて残雪の北アルプス燕岳（2763m）に6･7･8日で挑戦した。
参加者は原田さん、高橋（文）さん、熊本の３名である。
燕岳は02年8月初めに鵜飼さん、堀さんと燕～大天井～常念のﾙｰﾄを歩き、熊本は今回が2度目
だが、原田さん、高橋（文）さんは初めての山行である。
今年のｺﾞｰﾙﾃﾞﾝｳｲｰｸの後半3･4･5日と悪天候が続いたが、6･7･8日の長野地方は快晴となり絶好
の登山日和となった。
初日は登山口の中房温泉（有明荘）泊まりで時間的に余裕があるため、文ちゃんが監査の下打合わせ
で来週火曜にEMSC長野テックを訪問するとのことで、下見をすることになり、豊科で途中下車し、
受付の前まで行く。
この事業所は北アルプス（常念岳、大滝山、燕岳、有明山、餓鬼岳、鹿島槍ｹ岳）を一望に見渡す
ことが出来て最高のロケーションにあり写真に収めて駅に戻る。

約30分で第一ﾍﾞﾝﾁ、更に20分で第二
ﾍﾞﾝﾁ（1820m）に着く。
ここまでは殆ど雪はなく、夏道で快適に
歩ける。

ここから登山道に残雪が出始め、
約30分で第三ﾍﾞﾝﾁ（2000m）に着く。

ｶﾞｲﾄﾞ時間通りのﾍﾟｰｽで快調な滑り出し
である。

上空は雲ひとつなく、日差しも強く、
既に額から大粒の汗が滴り落ち、既に
3人ともTｼｬﾂ一枚である。

登山道の積雪も60ｾﾝﾁ程度と深く
なるが、気温が高く、雪は溶け出し
ており、所々、ｽｯﾎﾟﾘ踏み抜いた穴
がある。

安全第一の我々はここでｱｲｾﾞﾝを
装着する
（凍結していないので、ｱｲｾﾞﾝ着け
なくても十分歩けるが）。

更に樹林帯の中を30分登ると、
合戦小屋（2363m：）に到着した
（10:25）。

残すは標高400mのみとなり、ここで
大休止をとり、パンなどで軽食を採る。
夏季なら、ここで冷たいスイカを頬張る
のが楽しみなのだがこの時期は無理
で、原田さんは熱いｺｰﾋｰを注文する。

約2400ｍの高度でも日差しは強く暖かく
Tｼｬﾂ一枚でも十分である。

樹林帯はここまでで、ここから1.5ｍ位
程の潅木地帯であるはずが、すべて
雪の下にあり合戦の頭まで見通せ、
一面の銀世界である。

夏季は九十九折の登山道であるが、
今日は雪急斜面の直登である。
ｽﾄｯｸを一番短くし、ﾋﾟｯｹﾙと同じ扱い
で体重を支える。

一歩一歩高度を上げるに従い、槍の
姿は大きくなり、疲れもすっ飛んでいく。

一気に合戦の頭まで出ると、稜線に
出て、正面に燕岳、右手に餓鬼岳、
鹿島槍、左手に槍ケ岳、大天井岳、
常念岳とﾊﾟﾉﾗﾏの展望が開ける。

前方上に燕山荘（えんざんそう）が
見えるのだが、ここからが最後の
急登できつい。

残雪で化粧した山並みを見ながら、
片側は急斜面で切れ込んでおり、
慎重に一歩一歩登り、夏期は右ﾙｰﾄ
で山荘に入るが、残雪期は雪崩が
起きそうな急斜面で、左ﾙｰﾄで
山荘の裏側から入る。

１２：００丁度に燕山荘に到着する。
登山口から4時間半で、略ｶﾞｲﾄﾞ案内の
時間通りで、登りきったことになる。
我々老年ﾊﾟｰﾃｨｰのパワーも大した
ものである。
ここからは、裏銀座ﾙｰﾄの槍、双六、
三俣蓮華、鷲羽、水晶、野口五郎、
烏帽子、蓮華、更に立山への壁が前面に
広がり、更に鹿島槍、白馬と火打、妙高、
黒姫まで見通せる。
正に北ｱﾙﾌﾟｽ３６０度のﾊﾟﾉﾗﾏ世界が
繰り広げられている。西風が強いが、感激して暫く見とれる。

体が冷えヤット山荘に入り、宿泊
手続きをとる。
各々山菜やてんぷら蕎麦を注文し、
昼食で腹ごしらえし、30分ほど
休息する。

空身で燕山頂に向かう。山荘から
山頂までは殆ど雪はなく、風化した
花崗岩の砂地が雪を溶かすの
だろうか。風化によって出来た奇岩、
奇峰がオブジェとなって特異な世界
を造りだしている。
夏期にはこの辺り一面コマクサの
群生地となっている。

15分ほど１坪程度の山頂で展望を
楽しみ下山し山荘に戻る。

喫茶ｺｰﾅｰは屋根、まで雪に覆われ、
使用できない。
談話室で、ｽﾄｰﾌﾞを囲み、今日の一日
を振り返りながら話こみ、持参した
ｳｲｽｷｰをﾁﾋﾞﾘﾁﾋﾞﾘ。

5時になって夕日に輝くｱﾙﾌﾟｽを写真
に収めようと外に出るが、まだ陽は高く、
後1.5時間以上は掛かりそうである。

西風が強く気温はどんどん下がって
きた。
空には一面雲もなく澄み切っている。
明日の天気も大丈夫だろう。

6時夕食、何と600人収容できる燕山荘であるが、本日は我々３名を含め、１０名しかいない。
山小屋にしては食事が良い。全部たいらげる。
通常その後、主の赤沼氏がｱﾙﾍﾟﾝﾎﾙﾝ（４ｍ）を奏でてくれるが、本日は不在で、代わりに
燕岳を中心にしたビデオ鑑賞をしているうちに、ついウトウトしてしまい、消灯の9時前には
布団に潜り込む始末でした。

お陰で、翌日朝3時半には目が覚め、
窓ガラスから見る外は明るく、外に出て
みると、西風は強いが、満天の星空と
月光に照らされて、近くの燕山頂のみ
ならず、槍・穂高までハッキリ見え、
ヘッドランプなしでも十分歩ける明るさ
であった。

外の気温はﾏｲﾅｽ５度、風が吹くと体感
気温は－10度以下であろう。
山頂での日の出は4:40であり、もう寝ず
に起きてしまった。
日の出は草津白根山と四阿山の間から
昇ってきた、浅間山や甲武信・金峰など
の秩父連山が朝モヤの中で、墨絵を見る
がごとしであるが、残念ながら富士山は
ﾓﾔに霞んで見えない。

今日も上空は青空が一面に広がりよい天気である。6時に朝食を採り、朝日に輝く槍や燕を写真
に収め、6:40下山にかかる。
急斜面の雪道は要注意で、一歩一歩アイゼンをシッカリ利かしながら、スタート当初は、まだ雪が
凍りつき快適な足運びであるが、30分もすると、陽を浴びた表面は溶け出し、アイゼンに効きは悪くなる。

40分で合戦小屋の着き、小休止後、昨日登ってきたルートを逆戻り、一日で雪も相当溶けたような気がする。
第一ﾍﾞﾝﾁで、燕山荘のオーナー赤沼氏が主宰する初心者登山教室に出会い、挨拶を交わす。
登山口に9:40に戻り、下りは3時間で降りてしまった。

１０：００に有明荘に到着し、早速二日間の汗を荒い流し、温泉でユッタリト疲れを癒す。
（宿泊者は下山後入浴は無料である）11時に頼んでおいたタクシーで穂高駅へ。

12:06発に乗り、松本で乗り換え、寄り道せずに、12:54発のガラ空き特急あずさ20号で真っ直ぐ帰途に着く。
松本駅ビル地下酒屋がお勧めの地ワインを一本仕入れ、駅弁をつまみに一杯やりながら八王子15:07、
新宿15:36着と、まだ陽が高いうちに皆さん自宅に帰りました。

①三日間最高の天候に恵まれ、②白銀の北アルプスを満喫し、③中房温泉のツルツル源泉に入り、
④余裕のあるスケジュールでノンビリ登れたことで、全て満足し堪能した北アルプス残雪登山でした。