雪嶽山 第三部(千仙洞渓谷下りと高城にて)
鵜飼は、前日の転倒時の打撲と疲労もあり恐竜稜線の縦走をあきらめ、短時間で下れる
「千仙洞渓谷」コースを採る。今日は、李さんと今日中にソウルに帰るという朴さんが
ガイドとサポートしていただくことになった。
当初日本チーム全員がこのコースで下る案があり、短時間で平凡なコースと言われていたが、
実際はソラクサン一般登山客には一番の風光明媚なコースで、事実登下山客は非常に多かった。
鵜飼 記
@喜雲閣山荘
恐竜コースが出発した後、のんびりと
8時前に小屋をでた。
A喜雲閣朝食風景
小屋の周りにはまだ自炊で朝食を摂って
いる人たちが2、30人はいて賑やかでした。
3.恐竜尾根の岩稜
小屋を出て数分で恐竜コースとの分岐の
見晴台状の岩の上に出る。
目の前には迫力のある恐竜コースの岩稜
が朝日を浴びて姿を現した。
いかにも手強そう。
4.恐竜尾根の岩稜線―2
5.断崖絶壁の渓谷
6.李さんと朴さん
7.渓谷の紅葉
8.?の滝
9.渓谷の鉄橋
10.飛仙台 
11.飛仙台から弥勒峰
12.神興寺の大仏
13.権金城からの展望
14.金城頂上
15.権金城からの展望−2
16. 権金城からの展望-3 
17.雪嶽小公園
18.雪嶽小公園−2
19.雪嶽小公園にてー3
21.民宿1階は魚屋
22.韓国最後の晩餐
23.チョウザメの刺身
24.北朝鮮のかすむ金剛山
25.「秋のXX」の撮影地花津海岸
26.トーテンポールのドライブイン
27冷麺の店
ここから一気に下りに入る。
大きな石が幅1、2mで階段状に整備されて
いる。全体的に一段一段が高い。
明るい樹林帯を40分ほど下ると細い流れる
渓流にでた。
この「千仙洞渓谷」は昨日登った
「伽耶洞渓谷」と異なり、両側が断崖絶壁
に囲まれ、谷幅は狭く、ごろごろとした石は
少なく、渓流が滑らかな岩の上を、
急な滑り台を落ちていくように流れている。
紅葉は始まったばかりであちこちに
色づいた木々が絶壁を彩っている。
途中に落差約100m5段になっている
「天堂瀑布」とか「陽瀑布」とか名づけ
られた滝がつぎつぎと現れる。
典型的なV次谷で急峻な奇岩が林立し
登山道に張り出した岩もあり、
鬼面岩と名づけられたものもあった。
登山道は岩壁下を、石を伝うようにつけ
られているが、幅1mくらいの鉄の橋や
階段が非常に多く設けられている。
橋は渓谷に張り出したり、急流を
横切ったり、コースの大半が石の上か
鉄製階段、橋の上を歩いた。
急峻で狭い渓谷はこの鉄製階段と橋に
よって風光明媚な渓谷を登山できるように
なったとのこと。
一つ目待避所(小屋)で飲料水を
買おうとしたら同伴二人から
「なぜ水を買うのか」「水なら渓谷を
流れている水を飲めばいい、金を
出して買うことは無い」と笑われた。
「水には上流で垂れ流しているもの
が混じっているのでは」というと、
「それは薬だよ」と笑い飛ばされた。
11時過ぎに「飛仙台」に到着。
ここで子供連れや若いカップルなど
で急に賑やかになる。
登山路の始終点である。
雪嶽山の地図
飛仙台からは観光客と行きかいながら
なだらかな道を40分ほどで「新興寺」に着く。
ここには鎌倉の大仏を思わせる仏像が
置かれている。
渓流には名前がたくさん彫られた
大きな岩、目の前には山水画を
思わせる岩山がそびえている景勝地
である。
この前を通り過ぎると、土産物屋や簡易食堂
が立ち並び店員の呼び込み声が大きくなる。
今日のゴールは間近に。
雪嶽山国立公園の玄関口に12時に到着。
恐竜コースチームは、ここに着くのは早くて
午後3時半ごろか。
近くの食堂(大半は屋外)でチゲにチジミの
昼食を摂る。李さん、朴さんはマッカリで、
鵜飼はジュースで無事下山を祝し乾杯。
ここで朴さんはソウルへ。
まだ時間はたっぷりある。
雪嶽小公園からケーブルカー(日本なら
ロープウエイ)で標高約800m権金城
(クォングムソンへ(7000W)。
スイス製?のロープウエイで手軽に山頂
にいけるとあって人気が高く行列ができて
いる。あらかじめ搭乗時間が指定されて
いるチケットのため待ち時間は少ない。
ロープウエイ山頂駅からさらに登って15分
で山頂広場に出る。
広場の奥に50mほどの岩山がありそこに
みんな攀じ登る。
傾斜は急でわずかな足がかり、手がかり
を頼りに登る。
子供が親と一緒になって攀じ登るが下りが
怖い。梯子とか鎖があったほうがいいの
ではないかと思う。
この頂上からは雪嶽山の嶺々、ソクチョ
の町の先に日本海(韓国では東海)が
望める。
権金城から下りて2時半。
恐竜チーム到着までにはまだまだ時間
はたっぷり。
小公園の芝生で昨日濡れた雨具や
シャツ、靴などなど乾かしながら昼寝を
しながらひたすら到着を待つ。
公園を通り過ぎる韓国の男性登山者の
大半が、黒のパンツ、黒シャツや
ジャッケット姿であったのが印象的。
もちろん歩くのが早い。
日本のゆっくり登山とは対照的。
恐竜チームが到着したのは午後5時過ぎ、
熊本、高橋の二人もさすが疲れた様子
だった。
今日は李さん、朴さんに大変お世話に
なりました。ありがとう。

(以上鵜飼記)
先にソウルへ戻った朴さんを除いた8名が
17時過ぎに再び合流し2台の車に分乗し、
一路本日の宿舎へ向う。山道を抜け
日本海(韓国では東海と言う)の海岸へ出る。
海岸を北上し高城郡の巨津港に来た。
この辺りは鄭さんの古里で、
現在、お姉さんが魚屋と民宿
(韓国語は民泊)を行なっており、
そこで、本日は泊まる。
鄭さんが言う「今日は新鮮な魚を一杯
食べ、飲みましょう。
ところでチョウザメの刺身は食べた事が
ありますか?」
「キャビアのチョウザメですか? 食べた
ことないですね!」

宿に着き、3人ずつ8畳位の広さの
オンドルの部屋へ入り暖かいオンドルの
床にしゃがみ込む。

荷物の整理を行って、3日間の汗と汚れを
シャワーで洗い流し、サッパリする。

早速一階の魚屋で夕食の宴で、我々日本
チームにとっては韓国最後の晩餐である。
先ずは、ビールで乾杯。
今日一日11時間の恐竜尾根を踏破した
喜びと、無事全員雪嶽山の3日間を過ごせた
こと、また、韓国チームの皆さんに、一方
ならぬお世話を戴いたお礼を込めて、
「乾杯!カムサハムニダ!コマスミダ!」
大皿に盛られたチョウザメの刺身は白身
で味は淡白、新鮮でコリコリ、胃袋の刺身
は美味いし、エンガワは絶品。
その他、ホヤ刺しも美味い。
ビールから焼酎に変わる。韓国では焼酎は
小さなお猪口でグビグビ。
返杯、乾杯(乾杯は一気飲みしなければ
いけない)。チジミ、突出しの各種キムチ
(白菜、高菜、大根、や京菜、もやしの
水キムチも美味い。チョウザメの塩焼きも
身が締まってイケル。チョウザメの刺身の
シャブシャブを提案し、平鍋に湯を沸かして
もらい、シャブシャブを食してもらう。
韓国チームは刺身のシャブシャブの食べ方
は初めてとのことだが、好評であった。
勿論、松茸のシャブシャブも再々の登場である。


話が弾み、来年は韓国チームが日本の山
を登ろうとなり、北アルプスは距離的に日数
が掛かるため、八ヶ岳(赤岳)を登ろうと意見
がまとまる。

スッカリ満腹になり、9時半にお開き。
今日一日お疲れ様でした。
朝、5時半起床、6時に東海(日本海)から
の日の出を拝む。
日本海からの日の出は初体験である。
今日も雲一つない快晴である。
日本チームは7時に海に出て朝の散歩に
出かける。海岸を北に向って歩き、15分ほど
の丘の上に展望台がある。
階段を400段近く登ると展望台からは更に
北方に山並みがあり、北朝鮮の金剛山だ。
8時に朝食を採り、9時出発する。車で20分程、
北に移動し、花浦海岸に着く。
ここは韓国のTVで放映された「北の何とか」
の撮影地で看板があり、海水浴場のリゾート地
である。
小高い丘の中腹に「金日成」の別荘だった
ドイツ風の建物があり、観光地となっている。
直ぐ近くには元大統領「李承晩」副大統領を
務めた李氏の別荘もあり、中を開放している。

見学を終わり、9:30ここで馬山チームの全さん、
李さん、田さんとはお別れである。
「皆さん、4日間大変お世話になりました。
コマスミダ!」
我々はソウルチームの鄭さん運転で、
南さん、鵜飼さん、高橋さん、熊本は
仁川(インチョン)空港まで送って頂く。
3日前に来たコースを逆戻りである。
1時間強ほど走ったところで、トーテム
ポールが多数林立しているドライブインで
トイレ休憩。
ドライブインの中にあるトーテムポール
(高さ2mほど)は何と男性のシンボルを
巨大にデフォルメしたやつばかりである。
とてもHPには掲載できない。
皆さんに紹介できないのは残念である。

ジャガイモのチジミを唐辛子醤油につけて
食べながら、マッカリを飲む。
対向車の多数の観光バスに出会い、
雪嶽山公園に行くのだろう。
早く出発したお陰で渋滞に巻き込まれず
ソウルの街中までスムースに来れた。

昼食は冷麺が食いたいと、鄭さんにお願いし
店を探してもらう。
本場の冷麺は細麺でシコシコし、酢とマスタード
をタップリ掛けて美味い。
勿論ビール(メッチュ)を飲む。
ソウルを離れ仁川の入り口で南さんと
お別れである。
「南さん、重い荷物を担いでのコースガイド、
有難うございました。コマスミダ!」
15:30に仁川空港に到着。
「鄭さん、4日間、スタートから終わりまで、送迎を含め本当に有難うございました。コマスミダ!」
定刻18:50発KE705便に乗り、成田空港に20:40に到着。
ここで日本チームも解散。皆さんお疲れ様でした。

来年は日韓交流登山を八ヶ岳でやります。皆さん元気で再会しましょう。
クマさん会目次に戻る
20..高城巨津港民宿