雪嶽山−1(かや洞渓谷の登り12時間)
昨年槍ヶ岳山行のため断念した韓国「雪嶽山」(SORAKUSAN)にSEK全社長のお誘いを受け、念願が
叶い、満を持して9月30日〜10日3日に掛けて行ってきました。
雪嶽山は韓国第二の高峰とはいえ、1708mとあまり高さはありませんが、幾つもの岩山が連なった
山脈を総称したもので、その景観の素晴らしさで、最も憧れる山となっており、特に雪嶽山の紅葉は
有名である。
今回の雪嶽山山行は
韓国馬山チーム(SEK全社長、李部長、田社長)、ソウルチーム(朴社長、鄭社長、南社長)、
日本チーム(熊本、鵜飼、高橋文)の総勢9名の日韓交流大パーティーである。
このパーティーの繋がりは馬山チームの全社長がソウルチームの南社長が学生時代ロッククライミング
仲間であり、日本チームの熊本とは仕事での知合いであり、3箇所から集まった混成部隊となった。

9月30日(木)台風一過の後、9:30
成田発のKE706便は定刻で飛立ち、
ソウルに11:45仁川空港に到着した。
日本チームと全く面識がないソウル
チームが「SONY」の看板を持って、
国際線出口で迎えてくれた。
鄭社長の日本語は達者で、朴社長、
南社長を紹介しながら、8人乗りの
ワゴンで百潭寺(bectansa)に向い
約5時間かかる。
朴社長は韓国山岳協会の役員であり、
南社長は顧問とのこと。一方、馬山
チームは韓国南端から約500Kmを
5時間掛けて車で駆けつける
我々ソウルチームは韓国の西端黄海
に面した仁川空港から漢江に沿って
ソウル市内を抜け、楊平(yangpyo)
付近のドライブインで軽食のうどんを
食べる。
醤油味だが、ショッパクなく具も多く、
麺はシコシコ麺で美味い(¥300)。
ここから進路を北東に取り、洪川
(hongcheon)を経由し、麟蹄(inje)に
15:00前後に着く。
ここで馬山チームと合流する予定である。

先に到達したソウルチームを待つ間、
山小屋での宿泊自炊の為の食材を求め
市場へ買出しをする。
米10Kg、餅大きな袋二つ、生餃子50個入、
豚肉等、我々日本チームはミネラル
ウオーター2リットル程を買い求める。
まだ、馬山チームの到着まで30分ほど
掛かるとのことで、鄭さんの計らいで
うなぎを肴にマッコリ(にごり酒アルコール
10%))で一杯やりながら待つ。
うなぎは蒲焼であるが、3本を開き、白焼き
(わさびで)、日本風甘辛醤油たれ、韓国風
辛醤油味で、どれも美味い。甘酸っぱい
マッコリによく合う
全さん一行の馬山チーム
の到着で、いよいよ2台の車で百潭寺
(Bectamsa)へ。
百潭寺入口駐車場まで約30分で17:00
に到着し車に積込んだ荷物を全て出し、
車は代行に預け明後日の下山口にまわして
貰う。
車から出した食材その他は山のようにあり、
9名で分担する。
日本チームは優遇され軽い荷物のみ。
今晩の松茸パーティーにと、大きな石焼鍋を
3個も持参し、これは李部長、松茸4Kは
ポリスチロールの箱4個これは全さん、
米10Kは朴さん等、韓国チームは相当な
重量を分担して頂いた。
駐車場からヨンデリ入場券売場まで徒歩
15分。ここから百潭寺まではピストンバス
で15分乗る(8Km歩けば2時間)。
百潭寺は全斗漢大統領が修行した寺で
観光名所となっている立派な寺である。
ここから本日の宿舎(百潭山荘)までは
緩やかな登山道で40分。
到着時は18時30近くで、真っ暗になっていた。
早速、韓国チームは山小屋の前のベンチで
ヘッドランプを付けながら夕食の準備にはいる。
ガスバーナ3個に重い石焼鍋を乗せ、豚肉を
焼き始める。
先ず日本から持ち込んだ日本酒で乾杯。
いよいよ松茸の登場。最初は松茸の芯の部分
を生で食べる。甘くて美味い。
瞬くまに日本酒は空になり、次は日本の焼酎、
ウイスキーである。裂いた松茸を次から次ぎと
焼き、豪華なパーティーとなる。
今度は韓国焼酎だ。
その都度乾杯で、乾杯は杯を一気に干すのが
韓国流である。更に杯が回って来れば受けなけ
ればいけない。
日本チームはその都度「チョコマ・チュセヨ」と言う。
つまり「少しにして下さい」である。
韓国チームは流し込むように飲む。兎に角強い。
次から次へと焼酎の空き瓶が並んでいく。
松茸焼きで満腹になると、今度は大きなコッヘル
で松茸ご飯を作る。
日本チームにとっては、一回で10年間分の松茸
を食べたようだ。韓国の山小屋は全て素泊まりで
食事は出ない。
21:30過ぎに山小屋に入り寝る。一人毛布3枚の
割り当てである。
これで第一日目が終了、明日は4時出発である。
二日目3:45起床。別棟のトイレは水洗で全く
異臭はない。昨夜は李さん、南さんは1時まで
焼酎を飲んでいたという。
真っ暗な中、4:20山小屋を後にし、いよいよ
本格的に雪嶽山の登山がスタートする。
本日のコースは「かや洞溪谷」のルートだが、
現在は登山禁止になっている。
しかし、全さんの推薦で紅葉が一番綺麗な
渓谷美であり、管理人の目が届く前に、入山
しようとの考えで早出した。
朴さん、南さんの山のベテランが先導し、田さん、
その後に日本チーム、そして日本チームを補佐
するように、鄭さん、シンガリはSEKの全さんと
李部長である。
全員ヘッドランプの明かりを頼りに、黙々と歩く。
約40分で最初の山小屋に着くが、素通りし更に
30分ほどで第二の山小屋に着く。
ここは雪嶽山の名水が湧き出ており、休憩する。
まだ5:30で暗い。30分ほど歩くと薄明るくなり、
第三の山小屋につく。
ここも素通りし、いよいよ登山道から渓谷の中に
入り岩盤上に大きな石が積み重なった道なき道を
登り、6:20渓谷河原の広場で朝食を採る。
沢の水で、飯炊きと今朝も松茸のシャブシャブで
朝から豪華な食事である。
何と朝から迎え酒と称して焼酎が始まる。
いやはや、大丈夫かいな?
たっぷり朝食を採り、8:00渓谷を溯上する。
両側には切り立った岩壁が並び、赤や黄色に
染まり始めた紅葉が朝陽に映え渓谷の美しさを
増している。
空に青空が覗いているが、灰色の雲が流れ、
風も出てきた。
沢の淵(岩盤)を右に左に折り返しながら、
傾斜はキツクナイが大きな岩や石の乗り越えが
延々と続く。
渓谷の周りを彩る紅葉も多くなり、屏風絵のようである。
朝食から約4時間歩いたところで、昼食にする。
勿論渓谷のど真ん中、岩盤の上である。
飯炊きと湯を沸かしてカレーを温め、カレーライスだ。
炊き上がるまで、再び、酒盛りが始まる。
チビリチビリではない、グビグビの飲み方である。
兎に角良く飲む。日本チームは呆気に取られて
呆然と見ているだけ。
朴さん、南さん、朴さん等は飲み始めると大声で
掛け合い漫才(一見喧嘩風)が始まる。
風が出てきて、空が一面雲で覆われ始めた。
まだ標高900m弱で、あと400m近く登る必要
がある。たっぷりと休息を取り(これは日本人で、
韓国人はたっぷりと、焼酎を飲みである。)
後片付けをしていると、ポツポツと降ってきた。
14:00念のため雨具で完全装備し、再び渓谷の
溯上を続ける。
徐々に足元の岩肌が湿り、やがて濡れていく。
なるべく滑りにくい岩や石を選び登り続けるが、
岩壁と渓流に挟まれ選択の余地がなくなると、
歩幅を狭め注意しながら歩を進めるが、
岩の急斜面ではアット言う間にスリップし、膝の
脛や太腿の外側を強打し、何とかモガキながらも
ヤットスリップを止める。
鵜飼さんも膝を強打し出血、高橋さんもスリップ
で転倒する。
韓国チームは歩き方が上手なのか、靴底が良い
のか分からないが、余り滑らない。
3時過ぎになると、雨は本格的に降り出し、日本
チームはスリップに対する、恐怖心がますます増す。
鵜飼さんは、膝を強打した影響と、大きな岩や石を
超えるのに難儀し、ペースが落ちる。
朴さん、鄭さんは、田さんは山小屋の確保と、夕食
の準備で先行する、第二陣は南さん、高橋文さん、
熊本が続き、渓谷の岩道スリップを避け、道なき道
の藪コギを選ぶ。滑る恐怖よりよっぽど楽だ。
シンガリは鵜飼さん、全さん、李さんで各班とも韓国
チームがしっかりサポートしてくれる。
4時過ぎにヤット、本日の山小屋「飛雲閣山荘」
(HIUNKAKU:1200m)に到着した。
なんと朝、4時過ぎに出発してから、丁度12時間の
行程であった。かなり足に来ている。
靴の中までビッショリ濡れており寒い。
夕食は、チゲ鍋でご飯である。例によって、焼酎から始まる。皆さん呆れるほど飲み且つよく食べる。
食べる量は日本人の3倍は食べる。飲む量は10倍か?韓国パワーの源泉を垣間見た気がする。
鵜飼さんは疲労で食欲がない。日本チームは早々に引き上げ、寝に入る。
山小屋は満杯で、一人幅は50センチ程のスペースであるが、背中を平らに床につけて寝られるだけ良い。
毛布を3枚割り当てで寒くはない。明日は5時起床6時出発の予定である。

次回「雪嶽山−2(恐竜稜線から下山11時間)」に続く
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