04年2月21日 雪山 北横岳

定刻7時にスーパーあずさ1号は重装備の冬山登山とスキー客を乗せて新宿を出発した。
上空は青空、雲一つない、気温も暖かいため、朝からモヤっている感じで遠くは墨絵のように
霞んでいる。
八王子で青木さんが乗ってきて、運良く隣に座れたが、自由席は超満員で、車内販売が出来
ないとアナウスがあるほどである。

大月を過ぎると一瞬、青空に富士山の真っ白な頂が覗く、しかし周囲の山々に雪の欠片もなく、
韮崎を過ぎてやっと線路の日陰に残雪が見え始めた。

南アルプスの鳳凰三山、甲斐駒ケ岳、
八ヶ岳の全山が青空に朝陽を浴びて
輝いている。

ただ、車窓からみる姿は山頂付近に
しか雪は見えない。
ここ2週間ほどの暖かさで殆ど、溶けて
しまったのだろうか。

9:07茅野に到着する。ホームに溢れるほどの雪山登山者が降りる。流石、南八ヶ岳、北八ヶ岳の
出発拠点である。半分の人(重装備)は南八ヶ岳(赤岳等)の美濃戸口へのバスとタクシーへ、
北八ヶ岳へは、麦草方面、渋の湯方面と我々が行くピラタスロープウエー方面に分散する。

帰りの指定券を購入して、高橋(雄)さん、猿渡さんを待つ。9:50に全員揃う。
10:00発のバスに乗り込む。このバスが、これまた超満員で、我々4人は座ったが、20人くらい
立っている人があり約50分の山道は辛そうである。

バスを降り直ぐ、スキーヤーに混じって、ロープウエーに乗り、約7分で山頂駅の坪庭につく。

車窓からの八ヶ岳

ここは、既に標高2240mである。
早速スパッツ、軽アイゼンを装着する。
昨年3月9日以来、約一年振りであるが、
全白一色だった坪庭が今日は一面に
溶岩石が
露出している。
恐らく積雪で1mくらい少ない感じだ。
縞枯山、北横岳の樹林の雪は全て溶け

落ちてしまっている。
下から見上げる北横岳山頂は荒々しい
岩嶺が剥きだしになっている。

恒例により、坪庭の登山口で集合写真を
撮り、いよいよ本日の雪山登山のスタート
である
11:30)。

南アルプス
入笠山
中央アルプス
ロープウェウィ山頂駅
坪庭

兎に角、2月とは思えない暖かさであり、
陽射しを浴びると熱いくらいである。

坪庭を約半周して一端下り、北横の登り
に入る。
ジグザグの折り返し道で高度をどんどん
稼ぐ。登山道は固く締まって問題ないが、
陽の当たった表面は溶け出し、シャーベット
状に近い。

20分ほどで展望の良い地点に着く。
南八ヶ岳、甲斐駒、鳳凰三山が綺麗だ、
それと八ヶ岳の
裏側から奥秩父の嶺々
が見え出し、どうやら、山頂が真っ白な
山は金峰山らしい。

一息入れて更に登ると、左に進路を変え、
樹林帯の中に入って行くと、大分積雪も
益し、
サラサラの粉雪に近くなってきた。

ほぼ平坦な上りの樹林帯を暫く登ると
北横岳ヒュッテに着いた。

ここで最初の休憩を入れる。
山頂への急登に備え、軽くバナナでエネルギー
を補給する。


昨年は風に舞う霧氷が光るダイアモンド
ダストが綺麗に輝いていたが、今日は、
樹木に舞い散る雪もない。

いよいよ最後の急登に取り掛かる。
10分ほど息を弾ませ登ると視界が開ける
と同時に風が
吹いてきた。

先ず、最初の山頂の南峰に着く。
山頂は地肌が出ており、やはり雪はすくない。

楽しみにしていた樹氷の影、姿もない。

直ぐ隣の蓼科山、車山(霧が峰)、美ヶ原、その向こうに連なるのは北アルプスだ、左から乗鞍、穂高、
大キレットを挟んで、常念の上に槍穂が天を指し、鹿島槍、五竜、唐松、白馬がハッキリ見える。
北アルプスから左に目を転ずると、御岳、木曽駒、空木岳が連なり、その手前には南アルプスが右から
仙丈、甲斐駒、北岳、鳳凰三山。今日は残念ながらモヤで富士山は見えない。そして手に取る近さで、
八ヶ岳が右から、編笠、阿弥陀、赤岳、横岳、硫黄、天狗が
見える。
5分の距離で、双子峰のもう一方の北峰(2480m)に場所を移す。秩父、群馬から新潟に掛けての山並
みが一瞥できる。右から金峰山、両神山、荒船山、浅間山、四阿山、さらに左上には妙高、火打、高妻山
まで見える。シッカリ確認できるだけでも、30近くの百名山は認識できる。
恐らく目には40以上が飛び込んできているはずだ。パノラマ写真撮影に、雄さんは山頂を走りまわる。

南峰山頂
北峰山頂
北アルプス望遠
穂高岳
槍ヶ岳
北アルプス
蓼科山
車山
浅間山
四阿山
金峰山
甲武信ケ岳
八ヶ岳
南アルプス
中央アルプス
南峰
↓北横岳山頂付近からのCGシミュレーション(カシミール)。10mm広角レンズ相当を3枚合成。実写は35mm14枚合成のためズレがあります。
西
両神山
荒船山
いくら眺めていても飽きない光景だが、
流石に風が強く、北横岳ヒュッテまで戻り、
昼食を取った。
雄さんが作ってくれた焼酎お湯割りで体の
中から温まる。

雪山の下りは楽だ。
石ころや岩、木の根が雪の中に埋まり、
歩き易いこと申し分ない。


駆け下るように降り、坪庭にも戻る。
坪庭は一方通行で、来たコースとは逆の
コースを取り、
結局、一周したことになる。

ロープウエー山頂駅には14時丁度に戻り、
即バス停に急いだが、
次の発まで約30分
の待ち時間があり、この間、土産物を覗い
たりして時間を費やす。


14:50のバスの乗り、滝の湯入口で、
雄さん、猿渡さん、熊本は途中下車する。

真っ直ぐ帰る青木さんとはここでサヨナラである。

3人が向かうのは、勿論温泉である。
今回はインターネットで調べた「小斉の湯」
初めてのところ。バス停から3分ほどの
距離で着き、一人¥700で入浴休憩できる。



休憩ロビーにはソファーが置いてあり、誰も
いなく火の気もなく寒々しい。

早速、温泉に浸かりに行く。 数箇所に分散
して、露天風呂があるが男性専用はなく、勿論
混浴の露天風呂を選ぶ。 我々3人で専用し、
貸切り状態で、早速雄さんがカメラを取りに戻る。

当然、混浴とはいえ、女性気なしだ。

温泉は無色透明で、無臭に近いがツルツル
している。源泉があり65度の高温である。

隣に源泉の湯があり雄さんが飛び込もうとした
が足先を突っ込んで飛び出した。
当然である。
大やけどしてしまう。

ユックリ源泉から湧き出る湯を楽しんで、
寂しい休憩ロビーでの宴会は、止め、1時間後の
バスに乗り茅野駅に向かう。

バス停には高浜虚子の句碑が立っていた。

予定より早く着いたため、朝方買った特急指定
より30分早い特急(スーパーあずさ12号)に乗り、
3人で4人ボックスを占有し(電車は空いていた)
宴会を開始し、新宿まで続いた(19:30着)。


春山登山の暖かさを満喫した北横岳雪山登山
でした。

青木 作
熊本 作
熊本 作
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高浜 虚子 の 句碑
しかし山頂からの景観は最高である。
熊本は今回で6回目の登頂になるが、今まで
で最高にハッキリ・クリアーに山々が識別でき、これが
冬山の特権である。

寒さも気にならず、360度に展開する山座同定
をする。
参考写真:2002年3月2日の樹氷